脳の機能発達にかかわる症状「発達障害」は子供にみられる症状と思われがちですが、大人になってから発達障害が発覚するケースが増えています。大人の発達障害は、仕事をする上で支障をきたすことが多く、社会人になってから仕事ができない不安を感じることがあります。
そこで今回は、大人の発達障害である注意欠陥・多動性障害(ADHD)の基本情報と診断・治療方法について解説します。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは?

そもそも発達障害とは、脳の制御や情報処理などの機能発達が偏ることにより、日常生活に困難が生じる状態のことです。注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、自閉症スペクトラム(ASD)とともに発達障害の一種とされています。遺伝が関係しているともいわれますが、遺伝はあくまでも発症要因の1つで、他の要因で発症することもあります。
発達障害は脳の性質によるものなので、親の育て方はほぼ影響していないと考えられています。ADHDは子供の頃からみられることもありますが、知的障害が伴わないことが多いため、大人になってから発覚するケースが少なくありません。
子供の頃は周囲からのサポートを多く受けられるため成長段階の環境に適応できていたとしても、大人になってから高度な作業やコミュニケーションが要求される場面で困難を生じる場面が増えることでさまざまな症状が明らかになり、診断を受けてはじめてADHDとわかることが増えています。大人の発達障害は、仕事や他者とのコミュニケーションがうまくいかなくなることによってうつ病などの二次的な障害が発生する可能性もあります。
ADHDの症状

ADHDは注意欠陥・多動性障害と呼ばれていることからもわかるように、不注意や多動・衝動などの症状があります。不注意と多動・衝動には、それぞれ以下のような症状がみられます。
【不注意】
・集中することが苦手
・ケアレスミスが多い
・物忘れ、物をなくしやすい
・片付けが苦手
・約束やスケジュール管理が苦手
【多動・衝動】
・じっとしていられない
・衝動的な言動をする
・待つことが苦手
ADHDは脳の特性から生じる症状なので、大人になってからADHDと判明した人でも子供の頃から何かしらの症状は出ているはずです。ADHDの症状のうち、特に多動・衝動は、男性が子供の頃からみられることが多く、早い段階で診断されやすいものです。しかし、うっかり忘れることや集中できないなどの不注意の症状は「子供だから」という理由で見逃されやすく、子供の時点では周囲の人がサポートしてくれるため、多少の症状が出ていたとしても支障をきたすことは少ないでしょう。そのため、不注意の症状は子供の段階で診断されることが少ないのです。
ところが、大人になってからこれらの症状が日常生活で支障をきたしてしまいます。そこではじめて、ADHDと判明することが増えるのです。
ADHDのタイプは3種類
ADHDの症状には個人差があり、大人か子供かにかかわらず、どのような症状が現れているかによって3種類のタイプに分けられます。
・不注意優勢型:不注意の症状によって、日常生活や社会生活に支障をきたすケースが多い
・多動・衝動優勢型:多動・衝動の症状が多いタイプ。大人の場合は突然離席するなどのケースは少ないが小刻みに体を揺らす、そわそわするなどの症状が多い
・混合型:上記2種類が混合しているタイプ
この3種類のタイプのうち、大人のADHDでは不注意優勢型が多くを占めるといわれます。
ADHDを治療するには

ADHDは、心療内科や精神科で治療が受けられます。そこで、ADHDの診断を受けてから治療までの詳細をご紹介します。
ADHDの診断方法
ADHDの診断には、まず問診を行います。そして、アメリカ精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)」やWHOなどの基準を元に、診断をします。インターネット上にはADHDのセルフチェックができるサイトもあるので、医療機関へ行く前に一度チェックする方法もあります。
ADHDの治療方法
ADHDの治療方法は、大きく分けて環境調整・行動療法と薬物療法の2種類です。それぞれ具体的にどのような方法で進めていくのを解説します。
環境調整・行動療法
ADHDで起こり得る症状によって日常生活や社会生活に支障をきたしている場合は、まず環境や行動の改善を図ります。例えば、集中力がない方は集中しやすい環境を整える、仕事などに支障をきたしている方はロールプレイングでトラブル回避を目指すなどの方法が取られます。対人関係でトラブルが生じることが多い方は、対人関係に必要なスキルを身につけるソーシャルスキルトレーニングを行うこともあります。
また、一部の医療機関では、同じADHDの悩みを抱える人で構成したグループを作り、その中で話し合って悩みを共有し、自己理解を深めるグループプログラムを実施しているところもあります。しかし、まだグループプログラムを実施しているところは少ないのが現状です。
薬物療法
環境調整や行動療法で十分な改善がみられなかった場合は、薬物を処方して改善する方法があります。大人のADHDの治療には、アトモキセチン塩酸塩、メチルフェニデート塩酸塩、グアンファシンの3種類の薬剤の処方が可能です。いずれも、脳の神経物質に作用して、注意力や集中力向上などの効果が期待できます。
ADHD治療にに用いられる薬には、不眠や心拍数上昇、食欲減退などの副作用がみられることがあります。過剰摂取すると心血管へのリスクや依存などの症状も懸念されるため、医師の診察の元で処方された薬を適切に服用する必要があります。スケジュール管理が苦手な人が多いADHDの治療では、服薬管理が重要です。薬物療法を受ける場合は、服薬アプリなどを活用してきちんと薬を服用しなければなりません。
ADHDかも?と思ったときは

もし自分がADHDでは?と思ったときは、まず前述のセルフチェックで確認してみましょう。大人になってからADHDの症状が出る場合、周囲とのコミュニケーションがうまくいかずにうつ病などを発症することがあるため、医療機関で相談するのも1つの方法です。医療機関では、一人ひとりの症状に合った対処法をアドバイスしてもらえます。
仕事に支障をきたす大人の発達障害の可能性が高いけれど、いきなり心療内科や精神科へ行くのは気が引ける、という場合は、医療機関以外で専門家に相談する方法もあります。
スキルやサービスを発注できるフリーランスワーカー.jpでは、医療機関にかかる前に相談できるカウンセラーが多く出品しています。オンラインでカウンセリングの専門家に相談できるので、誰にも相談できないADHDの悩みも気軽に話せて、これからのキャリアをサポートしてもらえるでしょう。
まとめ
ADHDの症状は子供のときはそれほど気にならなかった、生活に支障はなかった場合でも、大人になって社会に出てから顕著に症状が現れると仕事に支障をきたしやすいものです。すると、仕事ができず周囲に否定的な言動をされてしまい、不安や悩みにつながることが出てくるでしょう。
ADHDはさまざまな場所で相談が可能です。医療機関を受診する前にオンライン上のセルフチェックやカウンセリングなどを受けたりするなどの方法があります。ADHDの症状によって仕事を続けられなくなったり、うつ病を発症したりすることもあるので、一人で悩みを抱え込む前にカウンセリングなどを受けて、必要な場合は医療機関を受診して対処してみましょう。

