会社を設立する際に行う登記申請前には、定款の作成と認証が必ず必要です。定款とはどのようなものなのか、今回は定款に記載するべき内容や認証手続きの方法について解説します。
定款とはどのようなもの?
定款とは、会社の名称や所在地、事業内容などの基本情報や規則などが記載された「会社の憲法」とも称される書類です。会社を設立する際に作成が義務付けられており、会社を設立するために行う登記申請の前に必ず作成しなければなりません。
定款は、後述する公証役場で認証したものについては公証役場で20年間、法務局で登記申請を行ってから5年間保管されます。
絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項です。もし定款を作成した際に漏れや不備があると、定款そのものが無効になってしまいます。
絶対的記載事項には、以下の項目が含まれます。
| 商号 | 会社名のこと。 会社名の決め方や使用できる文字にはルールがあるので注意 |
| 事業の目的 | 取引の安定性を確保するために、会社で行う事業内容を具体的に設定する |
| 本社・本店所在地 | 登記する会社の本社または本店の住所を記載。 |
| 資本金額 | 会社設立に際して出資された資金の総額または最低額を記載。 |
| 発起人の氏名及び住所 | 会社設立時の発起人全員の氏名と住所を記載。 |
相対的記載事項
相対的記載事項は、絶対的記載事項のように記載が義務とはなっていませんが、定款に記載することで効力が認められる事項です。絶対的記載事項のみでは不十分ではない項目について記載するほか、金銭トラブルを回避するための項目なども含まれます。
主な相対的記載事項に該当する項目は、以下の通りです。
・株券発行の定め
・現物出資
・財産引受
・株式譲渡制限に関する規定
・株主総会、取締役会などの招集通知期間短縮
など
任意的記載事項
絶対的記載事項と相対的記載事項に該当せず、任意で自由に記載できるのが、任意的記載事項です。決めても決めなくてもよい事項なので、必ず定款に記載しなければならないわけでもありません。しかし、定款に記載しておくことで明確にできます。ただし、任意で記載できる事項であっても定款に記載した内容に変更があった場合は株主総会で定款の変更が必要となります。
任意的記載事項には、以下のような事項が含まれます。
・事業年度
・株主総会の開催規定
・役員数
・事業年度
など
定款にフォーマットはある?
定款には決められたフォーマットがありませんが、一例として日本公証人連合会では株式会社向け定款のフォーマットを4パターンで公開しています。日本公証人連合会のフォーマットを使用する場合、どのフォーマットを使用するかは以下でご紹介するそれぞれのパターンの要件をチェックしておきましょう。
| 小規模な会社 | 株式非公開 取締役が1名のみ 取締役会非設置 |
| 中小規模の会社 | 株式非公開 取締役1名以上 取締役会非設置 |
| 中規模な会社 | 株式非公開 取締役3名以上、監査役1名以上 取締役会設置 |
| 大規模な会社 | 株式公開 取締役会、指名委員会、監査委員及び報酬委員会設置 会計監査人設置 |
出典:日本公証人連合会
フォーマットが決められていないため定款は自由に作成できると思われがちですが、公的機関や金融機関に提出することも多い書類です。ワープロソフトで作成するのであれば、一般的な書類と同様にA4サイズで横書き、10.5~12ポイントの文字の大きさなど、読みやすい文字とサイズで作成しましょう。手書きで作成する場合は、後で訂正されることを防ぐために必ず黒インクのペンやボールペンを使用し、いずれの方法で作成した場合でも定款の末尾に自筆の署名とともに押印をします。
株式会社の設立には定款の認証が必要
定款は株式会社と合同会社を設立する場合に作成が必要ですが、株式会社に限っては作成するだけではなく「認証」という手続きが必要です。

定款の認証とは
定款の認証とは、作成された定款が正当な手続きで作成されたことを公証人が証明する手続きです。なお、定款の認証は株式会社以外でも一般社団法人や弁護士法人などでも必要な手続きです。
なぜ定款が公証人による証明が必要なのかというと、後々定款の改ざんや紛失などが発生した際のトラブルや、または株式譲渡時の定款の正当性に関する問題を回避するためです。定款は会社設立時に発起人全員が同意して作成された会社のルールとなる書類なので、定款認証を受けることで作成手続きや内容に問題がなく、正当性を公的に証明してもらえます。
公証役場で定款の認証を受ける流れ
定款認証は、会社の本店所在地管轄の公証役場で行います。定款の認証には、以下の書類を準備します。
・定款3通(会社保管用・公証役場保管用・法務局保管用)
・発起人全員分の実印
・発行後3ヶ月以内の発起人全員分の印鑑証明書
・実質的支配者となるべき者の申告書
このうち、実質的支配者となるべきものの申告書は暴力団員などによるマネーロンダリングなどの法人の不正利用を防ぐため、2018年より提出が求められています。こちらのフォーマットも、日本公証人連合会のホームページでダウンロード可能です。
必要書類を準備したら、公証役場へすべての書類を持参して認証を受けてもらえば、認証手続きは完了です。もし書類内容に不備や問題があると、公証人に指摘されることがあります。その場で訂正できる場合は訂正した上で認証を受けられますが、大きな不備や問題の場合は発起人同士で話し合いの上定款を作成し直し、再度認証を受ける必要があります。
電子定款作成・認証手続きの流れ
上記の公証役場での定款認証では、定款を紙の書類で作成して提出して認証を受けますが、現在は電子定款の作成・認証も可能です。電子定款とは、従来紙で作成していた定款を電子ファイルで作成・保管するものです。定款そのものの作成内容には変更はありませんが、定款作成・認証方法が異なります。
電子定款作成に必要なもの
電子定款を作成するには、まず機材などを揃える必要があります。
・マイナンバーカード対応ICカードリーダライタ
・電子証明書付きマイナンバーカード
・電子署名ソフト
・電子署名プラグインソフト
電子定款の作成・認証方法
電子定款を作成する際もまず紙の書類で定款を作成し、その書類をPDFファイルに変換して電子定款を作成します。Wordなどのワープロソフトで作成した場合は、PDFで保存するだけで作成可能です。マイナンバーカードの電子証明書を読み込み、電子署名ソフトでPDFに電子署名を行います。
電子署名を行った電子定款は、法務局ののオンライン認証システムで認証手続きを行います。登記・供託オンライン申請システムで申込者情報の登録をした後、申請用総合ソフトをダウンロードして電子定款を提出します。
電子定款の認証手続き後、定款のデータは公証役場で直接受け取らなければなりません。
・USBメモリ
・発行後3ヶ月以内の発起人全員分の印鑑証明書
・紙に出力した電子定款
・印鑑
・本人確認書類
・認証手数料
以上を公証役場へ持参して定款データを受け取った時点で、定款の電子認証の完了です。
定款にかかる費用
定款にかかる費用は、通常の定款と電子定款で異なります。
・認証手数料:資本金100万円未満:3万円、資本金100万円以上300万円未満:4万円、資本金300万円以上:5万円
・収入印紙代:公証役場での認証:4万円、電子認証:不要
・交付手数料:1枚につき250円
電子認証は収入印紙代が不要となるため、定款認証にかかる費用を抑えられます。
オンラインで会社設立ができるマネーフォワード会社設立でも、電子定款に対応しています。オンラインで電子定款の作成や認証が可能で、さらに会社設立に必要な手続きをオンラインで完結できるので、簡単に会社設立が実現します。
まとめ
定款の作成と認証は、会社を設立する上で行わければならない手続きです。
定款の内容に誤りなどがあった場合、定款が無効となり登記申請もできなくなってしまうため、今回ご紹介した内容を参考に正しい内容で定款を作成してみましょう。

