持っているスキルを活かして自分で仕事がしたい、新しいことにチャレンジしてみたいと思っていても、いざ起業しようとすると何から手を付けていいかわからない…という方は多いでしょう。
今回の記事では、起業するための方法や必要な手順を5つのステップでまとめてご紹介していきます。
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起業とは

『起業』とは、新しくビジネスを始めることを言います。
商品・サービスを売って報酬を貰うのがビジネスの基本です。
ちなみに年数回の活動や会社員をしながら副収入を得るビジネス活動を『副業』と言います。
「副業が順調にいきそうだから、副業を本格化させて起業する」というケースが、最近の主流です。
また、既にある事業を引き継ぐ場合は『起業』とは呼ばずに『事業承継』と言われます。
個人事業主か法人設立か?
起業は一般的には「個人事業主」と「法人設立」の2種類あります。
個人事業主は税務署に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出すれば個人事業主になれます。名刺の肩書きは「代表」とすることが多いでしょう。法的に義務付けられた会計書類も比較的簡単です。身軽に活動できる反面、プライベートとビジネスの区別が曖昧で社会的信用力が低いというデメリットもあります。
法人設立には用意する書類が多い上に登記などに30〜40万円程のお金が必要です。名刺の肩書は「代表取締役」が多いでしょう。社会保険や消費税など関係する手続きがあります。設立後は税務面での管理が複雑で司法書士、税理士、行政書士の協力は不可欠。ですが節税対策がしやすく、社会的信用力が高いというメリットもあります。
「1円で設立できる!」というような広告が多いですが、実際は資本金1円で設立したら翌日に資金ショートするのでご注意ください。
フリーランスと起業の関係
「フリーランスとして起業する」という言葉もよく見かけますよね。フリーランスは経済産業省のガイドラインでは、『実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者』 と記載されています。
『起業』とは、個人事業主も法人設立もどちらもありえるということです。自分のビジネスの状態とそれぞれのメリット・デメリットを比較して判断することになるでしょう。
起業する前にやるべきこと
「起業しよう」と決めてから、すぐに業務を始められるとは限りません。
すぐに決断することもビジネスには必要ですが、その前段階ではしっかりと準備する必要があります。
家族の理解を得る

配偶者や子どもの将来も巻き込むことになる起業は人生の一大イベント。
起業準備に踏み切った理由として「家族の理解・協力を得られた」ことを挙げる人は、全世代・男女ともに1位となっています。
逆に踏み切らない理由としては「専門知識、経営に関する知識・ノウハウの不足」が1位、「収入の減少、失敗時のリスク」が2位。将来に不安であっても家族の後押しが勇気となって起業する姿が想像できます。
家族の理解を得るには起業したいという意思・ビジョンを伝えて、勉強や副業などをしっかりと実践している姿を見せる必要があるでしょう。また。家族が何を不安に感じているかを掴むことが大切です。
家族の不安を取り除くために貯蓄をしておき、事業を撤退する時の基準を決めるのもよいかも知れません。
出典:中小企業庁 「3 起業希望者・起業準備者の実態と課題」
経営・営業スキルを学ぶ
「お金を儲けたい!」「会社員は嫌だ!」だけの勢いで起業しても上手くいきませんので、経営の基本を学んでおきましょう。マーケティングや経営戦略のような直接お金を稼ぐ方向に注目してしまいがちですが、それでは長く続きません。
なぜ自分が起業するのか? 起業して何を実現するのか? 社会のためになるのか? という信念やビジョンは実はとても大切です。理念は自分の原動力となり、業績が悪くても、先行きが不透明でも力強く進むことができます。周りの人を動かす力となるでしょう。
まず、経営で学ぶべきは自分の核となるものとは何か?を知ることです。
もちろん、マーケティング理論や実践的な商談技術・販促方法を知ることも重要です。起業してから最大の課題は営業活動だからです。世の中にはたくさんのセミナーがありますが、詐欺まがいなものも少なくありません。公的機関や業界団体が主催するセミナーや書籍で、学問ベースのものから始めるとよいでしょう。最初はつまらないと感じても結果的に近道になるでしょう。
業務に関係する法令を把握する
会社員では総務部や法務部など法的知識を持っている人材がいますよね。現場でも有資格者による監督やISOなどでの標準化で違法行為を防ぐ対策がされています。しかし、起業では知らず知らずに違法行為を行っている場合があります。そこで基本的な法令を知っておく必要があります。
ビジネスで関係ある法令は「税法・会計法」「民法・商法・会社法」「労働関連法・年金保険法」それに加えて、業務に直結する法令もあります。効率よく理解するには各省庁が発行しているパンフレットやHPがオススメです。要点が図や表でまとめられていて間違いもありません。
とくに施設内で配布されているものは重要度が高いものです。インターネットで気軽に見ることができますが、どれを見たら迷ったら役所など足を運んでみるのもよいでしょう。
公的機関やWebサービスで相談を受ける
商工会議所を始めとして公的機関では相談会や勉強会を開催しています。税理士など専門家から具体的な知識を得ることができます。すでに起業した実績のある人を招いてノウハウを仕入れることもできるでしょう。
会社員と起業家の考え方は想像以上に違いがあります。起業して初めて気付けることもありますが、相談会などを通じて起業前に課題を知ることもできます。
誰しも起業は分からないことだらけなので、知らないことは恥ずかしいことではありませんよ。
起業前の下準備ができたら、いよいよ実際の起業に向けての手順を①~⑤のステップを踏んで紹介していきます。
①現状分析する

起業は情熱だけではできません。起業は基本的には既に持っているものがベースとなります。ですから、自分が持っている資源を書き出し、丁寧に分析することで「果たして実現できるのか?」が、ある程度予測できます。同時に、自分の強みを知る手がかりにもなるでしょう。
現状分析は「要素」に分けると効果的です。
経営学では資源をヒト、モノ、カネを3大要素としています。
考えるときは大きな紙とペンを用意するのがコツです。ノートやパソコンは大きさや表現方法が限られてしまいます。思うままに書き出して図や絵も描けるようにしましょう。それぞれの関係性を繋いでいくと頭の整理にもなりますよ。パソコンなどにきれいにまとめるにはその後です。
ヒト
起業でもっとも重要な要素が人です。フリーランスの場合は自分自身と向き合うことになります。まずは学歴、経歴、保有資格、スキル、経験、知識という履歴書に書くような内容の確認から初めます。次に自分を中心とした人間関係に広げて行きましょう。
とくに人間関係は死活問題です。大学時代の仲間が会社役員になっていたり、各業界とのパイプ役的な仕事をしていたりすることもあります。一般的には人脈・コネと言われる繋がりです。会社員であればネガティブな印象もありますが、起業ではうまく活用することが大切でしょう。
ヒトを分析していると「自分はできないことだらけだ…」と感じるかもしれません。そんな不足している部分を認識することも目的です。起業するために足りていない部分はアウトソーシングで補うことができるからです。
業種によっては従業員を雇用しなければならない場合もあります。そのときにどのような能力を求めるかも重要になってきます。
モノ
パソコン、車、事務所、製造設備など利益を生み出すために必要なものです。自宅や自動車、業務用のパソコン・プリンター、ソフトウェア、デスクやイスなどの事務用品があるか確認しましょう。
基本的には自分の所有するものを分析したあとは、親族が使用していない土地をや引っ越し予定の友人からデスクを譲ってもらえるなど、活用できる可能性があるものもピックアップしておくと安心です。
カネ
現金、金融資産、換金性の高い物などプラスのお金だけでなく、ローンなど借金も含みます。資産は多く負債は少ないのが理想的です。現金がいくらあるかはビジネスの戦略や自由度に大きな影響を及ぼします。さらに、ビジネスによって必要となる金額は差があります。
例えばWEBデザイナーなら設備投資がパソコンやソフトウェアなどに限られています。現金1,000万円で自営業として起業するなら、最初の数年赤字が続いてもじっくりビジネスを育てることができます。
しかし、数百万円の設備投資が必要なのに現金50万円しかない人が、借金をして株式会社を設立して起業する場合は、すぐに利益がでるようにしなければなりません。カネを分析するときは金融機関から借りられるか?資金調達を検討するとよいでしょう。
②ビジネスモデルを考える

ビジネスモデルとは儲かる仕組みのことです。誰に、何を、どのように提供して利益を得るかを論理的・体系的に考えます。「ようやく仕事が軌道に乗ったよ」という表現はビジネスモデルを実際に作り出すことができたということです。
ビジネスモデルは再現性と継続性があるかが重要です。たまたまお客様から仕事を貰いお金を貰えただけではビジネスモデルとは言えません。受注、納品、代金回収、利益のサイクルが回せるかがポイントとなります。
では、どのようにビジネスモデルを考えればいいのでしょうか。
アイデアだしをする
起業するには何をビジネスにするかを考えなければなりません。そのためにアイデアだしをしてみましょう。アイデアは誰も考えたことのないような斬新でいて、実現可能なものが理想です。しかし、大抵のアイデアはすでに誰かが思いついて試してしまっています。
ほとんどの起業が会社員時代の経験や人脈などをベースにしてスタートしています。「①現状分析する」をするのはそのためです。アイデアだしは今までの経験や人脈にアレンジを加えたり、違った形で活かす方法を見つけたりするのが現実的でしょう。
しかし、アイデアはデスクに座っているだけでは思いつきません。お風呂に入っているとき、寝起きなどふとした瞬間に閃くことが多いと言われています。
また、日頃ときめいたことや感動したことをノートに書いて定期的に読み返しヒントを探している人も。アイデアを逃さないように肌身離さずメモ帳やスマホを持ち歩く習慣をつけるとよいでしょう。
思いついたアイデア同士をMIXしたり、1つのアイデアの要素を足し算引き算することでも新たな可能性が生まれます。友人との会話やセミナー・交流会で刺激を受けるのも効果的です。このように質より量で、どんどんアイデアを出す練習していきましょう。
SNSでは「起業ノウハウを教えます」や「月30万儲かるセミナー」のようなアカウントを目にすることがあります。アイデア欲しさに飛びつきたい気持ちはわかりますが、その中には高額商品を買わされるなど詐欺的なものもあるので注意が必要です。
マーケット調査で絞り込む
思いついたアイデアはまだ仮説にすぎません。前提となる条件が本当か確かめずに前に進むのは危険です。例えば「Aサービスは10代に人気なので、自分のBサービスもチャンスがあるはず」とアイデアを思いついたとき、実は「Aサービスを利用していた10代は別サービスに移行してしまって、ここ数年は30代の人気が高い」なら話は大きく違います。
正しいか否かを確かめるためには客観的な調査数字の確認が必要です。ベースとなるのは総務省など行政機関が出している統計資料。次に業界団体や企業が発表している調査を見るとよいでしょう。さらに業界の動向を知りたいときは上場企業の有価証券報告書やIRレポートが参考になります。株主向けに経営者のコメントや各事業部の運営方針を知ることができますよ。
SNSのトレンドランキングも参考になります。SNSは最新のマーケット動向を知ることができるからです。とくにマーケット変化が激しい環境で起業する場合は見逃さないようアンテナを張っておきましょう。
注意したいのが、アイデアが正しいかどうかではなく正しいと信じるための情報ばかり集めてしまうリスクがある点です。アイデアを否定する情報にも目を向けるようにしましょう。
ただし、友人や同僚にアイデアを相談すると「そんなのうまくいかない」と言うような否定的な意見があっても実際にやってみたら実はニーズが沢山あって、『ビジネスチャンスを逃す』という場合もあります…
最終的には自分自身が熱意をもってやりたいのか?やりたくないのか?が判断基準になります。
経営学の理論から考える
企業がどのように活動し、するべきであるかを研究する学問が「経営学」です。その研究分野の1つに「競争戦略論」があり、経営者として学ぶべき理論とされています。
例えば、下記のような代表的な理論があります。
「アンゾフの成長マトリクス」
既存製品と新製品、既存市場と新市場の組合せで取るべき戦略を説明したものです。
例えば「既存製品 × 既存市場」は手堅いですが大儲けはできません。
一方、「新規製品×新規市場」はハイリスクですが大きな利益を得られます。
フリーランスの起業では安定している「既存製品 × 既存市場」から初めて、「既存製品×新規市場」か「新規製品×既存市場」に移動する流れが一般的といえます。
「地位別の競争戦略」
アメリカの経営学者であるコトラーが提唱する戦略です。市場にいる企業や個人事業主をリーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワーの4つのポジションに分類しています。
ニッチャーは経営資源(ヒト・モノ・カネなど)が少ないながら質はよいポジションです。狭いマーケットでなら十分に戦えるので大手企業が参入してない場所が狙い目です。フォロワーは経営資源の質も量もない状態なので、他のポジションを模倣するのがよいとされています。
フリーランスのほとんどは、このニッチャーかフォロワーに該当するでしょう。
経営学で研究された理論はアイデアをビジネスモデルにするときのツールになります。理論に反する行動は失敗に繋がる可能性が高くなりますが、現状分析が正しいことが前提条件です。客観的に自分の状況を把握するように心がけましょう。
収益性・持続性を検討する
いかに素晴らしいアイデアであっても利益を安定的に上げられなければ絵に描いた餅です。市場調査などから絞り込んできたアイデアが本当に実現できるかシミュレーションしてみましょう。
一般的に売上は「単価×客数(案件数)」です。売上=収入ではなく、仕入や家賃・光熱費など経費が差し引かれます。さらにフリーランス自身の生活費、所得税、社会保険料も引かれる点に注意しましょう。
1日、1ヶ月、1年間でどれだけ売上が必要か逆算することができます。その結果、たくさん数をこなせば達成できると安易に起業するのは危険です。フリーランスは基本的に1人なので、体調不良や都合などで稼働できない場合は収入に直結します。1日8時間以上働けばいいだろうと思っても、直接お金を生み出す時間は意外に少ないのです。
その他にも競合他社、市場、仕入先の変化でビジネスモデルが崩れてしまうリスクも検討しなければなりません。変化した場合に対応方法があるかも考えておきましょう。
事業計画を作成する
事業計画書は事業内容や今後の展開、顧客層、売上や利益の見込みをまとめたものです。起業に事業計画は必須ではありませんが、自分の頭にあるものを見える化できます。書き出すことでブラッシュアップする機会にもなります。
事業計画書は融資や補助金などを申請する時、自分のビジネスを金融機関や専門家に説明するツールとしても利用できます。
事業計画書を作るコツは「ストーリー」をしっかり作ることです。
- なぜそのビジネスで起業をしようと思ったのか
- どのような顧客やニーズが存在して、何を提供できるか
- ビジネスを成功させるために自分にはどのような強み、経験、資格などがあるのか
- 数年間の売上・利益の見込みはどうか
など具体的に落とし込みます。
しかも、全ての要素が矛盾せず読んだ相手が「成功する可能性がある」と納得する内容でなければ計画とは言えません。
つい忘れられがちなのは理念・ビジョンです。「これは儲かるので起業します」と「〇〇問題を解決したいから起業します」では後者のほうが熱量を感じますよね。自分がなぜ起業したいのか考えることは長期的な成功に繋がります。
③ 資金調達する

起業するために必ずお金は必要です。どれだけ資金を準備しなければならないかは、今ある貯金とビジネスの内容にもよります。WEBライターならパソコンとインターネット環境があれば始められますが、中古自動車販売なら中古車の仕入れだけで数百万円が必要です。ま
資金調達の方法は下記の3つに分けられます。
- 自己資金
- 借入れ(ローン)
- 出資を受ける
日本では「我が社は無借金経営です!」とアピールされるように他人からお金を借りる・貰うことはネガティブな印象があります。しかし、経営学や法律の世界では活動促進するものとポジティブに捉えています。
お金を借りられる・出資される=社会的に信頼されている と考えましょう。その点は個人と事業者との大きな違いです。
自己資金
一言でいうと貯金や退職金です。返済や株主などの意見を聞く必要もないので、もっとも自由に使える資金です。事務用品や設備などの初期投資だけではなく、事業が軌道にのるまでの運転資金としても重要です。
自己資金は約4割が500万円未満で年々比率は増加しています。1000万円未満まで含めると約7割となり、業種にもよりますが起業しやすくなっています。とはいえ、自己資金は最低でも300万円程度あったほうがよいでしょう。
起業すると想像以上にお金は無くなっていきますが、軌道に乗るまでにはある程度の時間も必要です。自己資本が少ないとすぐに活動が行き詰まってしまいかねません。さらにお金を借りる場合も融資限度額は自己資金額の影響を受けます。
日本政策金融公庫から借りる
日本政策金融公庫は起業家を支援するために融資を行う政府系金融機関です。審査基準が緩やかなので実績が無い人にとって強い味方です。女性、35才未満、シニア、廃業歴のある人のように活動が不利な層を支援しているのも特徴です。
起業者向けのプランの中には無担保・無保証人でも3000万円(うち運転資金1,500万円)まで融資が受けられる「新創業融資制度」もあります。ただし、条件によっては金利が高くなってしまう点は注意しなければなりません。
審査基準が緩やかといっても返済能力があるかは問われます。起業に関連する職歴や収入の見込みや、融資希望額がビジネス内容に対して適正か説明する必要もあるでしょう。まずは税理士に相談してみると適切なアドバイスをもらえます。
民間金融機関で借りる
「雨が降っているときは傘を貸してくれないのが銀行」と言われるように、信用力に欠ける起業者が銀行からお金を借りることは困難です。ただし、信用保証協会を保証人とすることで融資を得られやすくなります。
信用保証協会と民間金融機関のそれぞれ面談や審査があるので、融資まで1~2ヶ月掛かると想定しておきましょう。また、担保が不要な代わりに信用保証協会に保証金を支払う必要もあります。
親族・知人からの借入
親族や知人からの借入は知らない人からの介入を受けにくい点にあります。とても有利な条件で資金調達ができることもあり返済も柔軟に対応してくれる可能性があります。一方で、口約束のようにあやふやな条件で行うとトラブルの原因にもなるので近しい間柄でも借用書を必ず交わしましょう。
20~30年前までは親族・友人から資金調達する人は約15%で一定のボリュームがありました。しかし、2021年には約6%と減少傾向であまり好まれてはいないようです。
投資家からの出資
高い成長が見込める起業家に出資を行う「エンジェル」や「ベンチャーキャピタル」という投資家や投資会社に支援してもらうという方法もあります。ビジネスが大きくなったタイミングで株式などを売却して利益を得ることを目的にしている人たちです。
起業家は返済の必要がなく、投資家からコンサルティングや取締役の派遣など経営支援を貰えることもあります。一方で、そもそも審査が厳しく付け焼き刃のような事業計画では出資が受けられなかったり、受けられたとしても常に成長の圧力が掛かるので自由度が落ちてしまったりするリスクも考えなければいけません。
安直に投資してもらうことが前提のビジネス・投資してもらえないとビジネスをやりたくない、という温度感で起業してしまうとだいたいの場合、失敗します。
事業資金100万円、運転資金200万円、合計300万円ほどで自力で始められるスロースタートがおすすめです。
かくいう私は資本金50万円で会社設立を開始して、会社設立して手元に残ったお金が10万円しかなくなって、キャッシングしながらヤマトでバイトしながら会社運営をしていました。笑
普通の人は絶対にそういうノリだとうまくいかないので、しっかりとした計画と資金が必要です。
クラウドファンディング
インターネット上で不特定多数の支援者から少額ずつ資金調達する方法です。株式会社のコンセプトにも似ていていますが、それよりも手軽に資金調達ができます。配当型、株式型など支援者側が利益を得るものもあります。
ただし、資金調達には魅力的で、共感・応援したくなる内容でないと難しいでしょう。クラウドファンディングサービスに登録して、PRやSNSでの情報発信など細やかな対策も必要です。
補助金・助成金を活用する
補助金・助成金は国や地方公共団体が経済活動を支援するための制度で、基本的に返済の必要がありません。法人だけではなく、個人事業主も対象にしているものも少なくありません。WEBサイト作成、設備導入、家賃補助などさまざまな種類があります。
ただし費用全額が対象のものは少なく後払いが基本です。申請書類もボリュームがあり、すべての人が必ずしも補助・助成の対象になるとは限りません。数万円~数千万円の支援を受けられる可能性があるので、要件を確認して申請できるものがないか税理士に相談してみましょう。
④ 準備・投資する

資金が調達出来たら、いよいよ本格的な準備に取り掛かります。
ここでは設立前にできること、しておくとよいことを見ていきましょう。
屋号・社名を決める
法人設立では社名は必須ですが、個人事業主に屋号は任意です。屋号は自分のビジネスを端的に表現できることもあり営業ツールにもなります。また、商談でも屋号や社名の由来は会話の入口として役に立つでしょう。事業計画書の「設立の動機」で上手く表現できれば融資獲得にもプラスに働きますよ。
活動拠点を決める
オフィスや店舗の場所や外観は相手から確認されるポイントです。自宅兼オフィス、ビルのテナント、自社ビルなど相手に与える印象は全く違いますよね。また、店舗型のビジネスなら売上にも直接影響を与えますが、ネット上のビジネスならほとんど関係ありません。
そうは言っても、しっかりとしたオフィスを構えればクライアントからの信頼を得やすいメリットはあります。コスト削減のためにシェアオフィス、バーチャルオフィスなどを利用すれば月1,000円から拠点を構えることも。自分のビジネスに適した拠点は戦略的に考えて決定しましょう。
印鑑を作る
電子化が進んだとは言え印鑑が必須の手続きはまだまだたくさんあります。
法人設立の場合は一般的に4種類の印鑑を作成します。
- 代表印(会社実印)
- 銀行印
- 角印(社印)
- 軽微な業務用の認印
代表印は個人の実印に相当し最も重要な印鑑です。会社の根幹に関わるような契約や行政への届出に使われます。
銀行印は会社の銀行口座開設のために使われる印鑑です。代表印と同一でも開設可能ですが紛失時のリスクを避けるために別々にしましょう。角印(社印)は請求書や証明書など、日常業務で使われます。さらに郵便物の受取に使うような簡易な認印も用意されることもあります。
個人事業主も実印、銀行印、請求書などの事務用、シャチハタ印を用意するのが望ましいでしょう。
銀行口座を開設する
個人事業主の場合はビジネス用口座に定めはありません。使っていなかった口座をビジネス用にするなど自由です。ただし、屋号入りの口座は「⑤設立の手続きをする」後でないと作ることは難しいでしょう。
法人の場合も会社設立前に会社名義の口座を開設はできません。会社設立に掛かる費用は個人口座で建替え、さらに出資金も引受けることになります。「⑤設立の手続きをする」後に移行する流れが一般的です。
クレジットカードやローンを組んでおく
起業すると信用力が驚くほど低下します。とくに金融機関は顕著です。パート勤務や学生でも審査が通っているようなクレジットカードでも発行されない可能性があります。還元率や特典がよいものは会社員であるうちに作っておくとよいでしょう。
住宅を購入する予定がある場合も、同様に起業前にローンの申請を通しておく必要があります。とくに自宅兼オフィスを想定している場合は、融資が下りないことにより計画自体が頓挫するリスクがあり注意が必要です。
専門家をピックアップ
法律は、基礎となる民法だけでも1046条もあります。個人事業主でも法人設立でも全てを網羅して業務を行うのは難しいでしょう。そこで以下の士業の人脈が必要です。
- 税理士
- 社労士
- 司法書士
- 行政書士
- 弁護士
税理士は確定申告、会計、節税対策などお金の面の専門家です。社労士は労務や年金の専門家なので人を雇用すると関わりが増えてきます。司法書士は法人や不動産の登記を行い、行政書士は役所への許可書類や会社の定款を作成します。弁護士は契約書の作成やトラブル時の問題解決を頼むことができます。
弁護士は「士業」のほとんどの業務をすることが可能ですが、法律が複雑化した現代では分業が基本となっています。専門家への依頼料は高額でも、アドバイス一つが何十万円、何百万円の利益になることもあります。
適切なWebサイトで比較しながら探しましょう。
営業ツールを作成する
どんな起業をしても一番の課題は受注の安定です。そのために自分のビジネスを紹介する営業ツールを用意しましょう。名刺、WEBサイトは今や必須。デザインによっても自分のイメージが左右されます。さらにポートフォリオ、パンフレットやカタログ、導入事例なども必要に応じて用意しましょう。
電話番号とメールアドレスも必須です。営業ツールだけではなく行政手続きや契約でも必要となります。個人事業主はプライベートと兼ねる人も多いですが、不特定多数に対して公開されることも多いので、個人情報保護の観点からもビジネス用を用意したほうが安心。今の時代では携帯電話番を代表番号にしても支障はないでしょう。
生産設備や事務用品を整備する
材料を加工して商品として販売するなら加工設備が必要です。材料や商材の仕入先も探さなければなりません。実際に購入するのは起業後であってもよいですが業者のピックアップや交渉は事前に進めておきましょう。
しかし、起業前でも事務作業は発生します。パソコン、プリンター、書類保管場所は用意しておかなければなりません。その他にも封筒、ペン、糊などの事務用品やマイナンバーカード読取り用ICレコーダー…と想像以上に揃えるものはあります。
会計ソフトを導入する
経理処理を税理士にすべて任せる方法もありますが費用も安くはありません。小規模なビジネスなら会計ソフトを導入で対応できます。クラウド型がトレンドで、個人事業主の場合年間1~3万円程度で済むでしょう。
経理処理はルーティン化が大切です。後回しにすると申告漏れが発生したり、何の取引か思い出せなくなったりしてしまいます。また、書類関係の保管方法も決めておかないとうっかり紛失してしまった…なんてことにもなりかねません。
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⑤-1 設立の手続きをする(個人事業主の場合)
準備や設備投資ができたらいよいよ設立のための手続きです。
個人事業主の場合の手続き方法を、順を追って見ていきましょう。
開業届を出す
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
会社員は会社が所得税の天引きにより納付し、年末調整で差額を調整してくれていました。開業届は管轄の税務署に提出し、『今後は自分で所得税を計算する「確定申告」を行いますよ』と伝える役割があります。開業届は2枚程度で内容も複雑ではなくオンラインでの申請も可能です。
開業届は身分証的な側面もあります。会社員は会社が発行する在職証明書を使いますが、個人事業主は開業届の控えを求められることがあります。また、屋号での銀行口座開設やクレジットカードの発行も開業届の控えが必要になります。
社会保険の切替えをする
個人事業主の場合は国民年金と国民健康保険に加入します。前職が会社員で厚生年金と健康保険に加入していた場合は切替えが必要です。手続きには社会保険離脱証明書を住んでいる地域の役所窓口に持っていく必要があります。
社会保険離脱証明書は退職者全員が必要なものではありません。一般的にしばらく無職の見込みの人が対象で、すぐに他社に転職する場合は発行されない場合もあります。退職時にはあらかじめ会社側に発行してもらうよう伝えておきましょう。
⑤-2 設立の手続きをする(株式会社の場合)
法人として起業する場合は、個人事業主の場合よりやることが多くなります。
一つずつ、順を追って見ていきましょう。
法人の形式を決める
法人格とは「法律によってできている人」という意味です。母親から生まれた人に可能な限り近い権利が与えられています。契約や訴訟も法人の名前ですることができますし、「人」なので法人も所得税や法人住民税が課されることになります。
法人設立では「会社法」に沿って手続きします。会社は大きく「株式会社」と「持分会社」に分類されています。
「株式会社」は多くの人から少しずつ出資して貰います。出資の引き換えに株式を発行します。株式会社では倒産しても株主は出資した額以上の責任を問われることはありません。「持分会社」は合名会社、合資会社、合同会社の3つがあります。仲間が集まって起業するイメージで比較的小規模の会社で使われます。ただし、合名会社では倒産すると全ての責任をとることになります。
その他にも一般社団法人などもありますが一般的には株式会社を選ぶことが多いでしょう。
発起設立か募集設立
- 発起設立
発起人が出資金を出して設立する方法で、発起人は何人いても構いません。副業からの起業、個人事業主から法人設立、仲間たちでの起業は発起設立にあたる場合が多いでしょう。発起人は法人設立の手続きを行い設立後は株主になります。同時に代表取締役や取締役になるのが一般的です。
- 募集設立
発起人だけでは資金調達が不十分な場合に多くの人からお金を集めて法人設立する方法です。大規模な起業ができる可能性がある一方で、部外者も参加することになります。発起人と出資者の合意を取りながら進めるので手続きが複雑になります。
定款を作成する
定款は会社の根本的なルールを定めたもので、会社の憲法とも言われています。
「公証役場」で証明してもらう必要があることからも定款の重要性が分かりますよね。発起設立でも募集設立でも発起人が作成し、証明されていない定款は無効だと訴えられるリスクもあります。
では、定款にはどんな内容が記載されているのでしょうか?
下記の事項は必ず記載が必要で漏れがあると受理されません。
- 事業内容
- 商号(会社名)
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称及び住所
- 発行可能株式総数
その他にも現物出資、財産引受、発起人の報酬、株式の譲渡制限の定め、取締役会の設置についてなど重要なルールを決めなければなりません。
資本金はどれぐらい必要?
1円でも起業は可能となっています。しかし、資本金は事業規模や安定性を示す重要な数字です。一般的に資本金は大きいほど経営が安定していて社会的信用も得られやすいと言われています。行政関係では課税や許可申請などの基準、一般企業では取引開始の条件、金融機関の融資額設定にも使われるからです。
資本金は一般的に300万円以上あると信頼性があると言われています。
実際には100万円~300万円未満での起業が約4割。資本金は3~6ヶ月分の運転資金が目安とされるので、自分のビジネスではどうか検討しましょう。まずは業界や同規模の会社を調べて差が少ない金額にするのも一つの考え方ですね。
資本金は発起人と出資者全員が、決められた発起人または設立時取締役の銀行口座に払い込んだ出資金が元になります。法人口座は会社設立後でないと口座開設できないので、一旦個人が預かることになるのです。
参照:e-Stat 「登記の種類別・資本金階級別 会社の資本金の額の変動の件数及び金額」
法人登記する
法人は法務局で設立登記することで誕生します。募集設立では事前に創立総会を開催しなければなりません。設立登記には発起人決定書、定款、資本金の払込証明書、取締役・監査役についての就任承諾書など添付書類も必要となります。
設立登記の完了により発起人が負っていた会社に関する権利や義務が会社に移行します。
さらに発起人や出資者から「株主」となる点も法人の特徴でしょう。
社会保険の手続き
一人社長であっても厚生年金と健康保険の加入対象となり、セットで手続きすることになります。国民年金と国民健康保険は個人単位ですが、法人は原則として事実発生(設立)から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を管轄の年金事務所に提出しなければなりません。
添付書類として法人登記簿謄本、法人番号指定通知書等のコピーが必要となります。法人登記簿謄本は原本が必要です。他の手続きでも求められるので何部か入手しておくと手間が省けるでしょう。
労災保険と雇用保険は基本的には従業員を雇用しなければ加入対象にはなりません。ただし、労災保険には特別加入制度があり下記の場合は事業主でも加入ができる場合があります。
- 労働者数50人以下の金融業、保険業、不動産業、小売業
- 労働者数100人以下の卸売業、サービス業
- 労働者数300人以下でその他の業種
それに加えて下記の要件を満たす必要もあります。
- 雇用する労働者について労災保険の保険関係が成立している
- 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託している
税金関係の手続き
税金は大きく国税と地方税に分かれます。「法人設立届出書」を国と地方公共団体それぞれに提出する必要があります。国の場合は設立日から2か月以内ですが、地方公共団体は地域によって異なります。さらに地方公共団体は都道府県と市町村に分かれている点にも注意しましょう。
その他にも青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、減価償却資産の償却方法の届出なども必要な場合もあります。提出期限に余裕があっても漏れを防ぐために、自社に該当する手続きは一度に終わらせるようにしましょう。
起業を成功させるコツとは?

楽観的でいること
個人事業主や社長は孤独です。優秀な右腕のような人材がいても、判断するのは自分しかいないからです。突然の取引終了やトラブルなど予想できないことばかり起きます。
どんなに大変なことが起きても、悲観的にではなく「楽しもう」というポジティブさは大切です。
ネガティブな人だと、3年ぐらいでメンタルがまいってしまいます。私の友人の経営者はメンタルクリニックに通いだすような方もいました。
定期的に振り返る
完璧な事業計画書を作成したと思っても、思うように行かないのが起業です。ビジネスモデルが構築できるまでには時間がかかり、構築されるまでに市場ニーズが変化してしまうこともあります。3ヶ月、半年、1年毎のように定期的に現状分析する仕組みを作りましょう。
まずは当初計画と今の違いがどれだけあるかチェックします。売上・利益の達成率、顧客動向と要素ごとに見ていくと新たな発見もあるでしょう。例えば20~30代をターゲットにしていたつもりが実際は50代~60代人気が高いなら、理由を調べてアプローチすることで売上を伸ばすことができるかもしれません。
ただし、最初の理念・ビジョンは忘れてはいけません。ビジネスが大きくなるほど重要になるのが理念ビジョンです。儲かりそうだなと思っても「原点」に反するのなら控えたほうが無難。なぜなら自分の中核となる強みではないことが多いからです。
また、分析ではビジネスの前提条件が崩れる可能性も考えなくてはいけません。例えば、YouTuberならYouTubeのサービスが終了したらビジネスモデルは自動的に崩壊します。ビジネスは常に変化していくもので柔軟に対応していくのが生き残るコツです。それでも、変えてよいものと変えてはいけないものを区別しましょう。
無駄遣いしない
起業の初期の目標は「赤字にならない」こと。赤字になってしまっても赤字幅が小さければビジネスを続けることができます。
起業すると高級車や時計を購入したり、相手に奢ったりして景気の良さをアピールすることもありますよね。
しかし、気前の良さは成功を保証してくれません。金払いの良かった人が突然夜逃げという話は山のようにあります。逆にしっかりとしたビジネスをしている人ほどケチだと言われています。まずは出費を抑えて着実に利益がでることに集中しましょう。今ある備品や資材は最大限活用し、WEBサイトやSNSを活用することで広告費も大きく抑えることができます。
従業員を雇用するときは慎重な判断が必要です。給料20万円だから大丈夫と思っても、実際には社会保険料や管理コストで2倍の40万円近くの出費となります。しかも解雇は容易ではなく毎月支払いが発生します。
他人に任せる
起業当初はさまざまな業務を自分でこなして状況把握に努めることになります。しかし、ビジネスを伸ばすにはある程度他人に任せる必要があります。例えば、請求書の発行などのバックオフィスをいつまでも自分でやっていては時間が足りなくなってしまいます。
また、受注した仕事の一部を外注にすることでより速く高品質を実現できることもあります。ビジネスは足し算ではなく掛け算です。人に任せることで驚くほど大きなことができるようになります。
注意しなければならないのは「属人化」です。その人でなければできない・わからないというブラックボックスは成長を妨げることになります。ビジネスの進捗に合わせて、業務を分解し可視化する必要があるのです。
フリーランスや一人社長でも可視化させることで、業務委託などアウトソーシングも活用しやすくなります。全世界の人材の力を上手に借りるのも成功するコツでしょう。
まとめ
起業を考えている人の中には、「考えているけど実行に移せない」「具体的にどんな手順を踏めばいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
確かに、起業するためには考えなくてはならないことや準備しなくてはいけないことがたくさんあります。
しかし、この記事のように、一つ一つステップを踏んで準備をしていけば決して難しいことはありません。
起業したいという気持ちを形にできるよう、今からできることを始めてみてはいかがでしょうか。
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