「恐れ多い」という言葉は、目上の相手に対して「申し訳ない」と思う気持ちや感謝を伝える時に使います。また、相手に何かを依頼する際に、前置きの言葉としても使用可能です。
「恐れ多い」はさまざまなビジネスシーンで活用できますが、使い方によっては相手が嫌な思いをしたり、悪い印象を与えたりする場合もあります。そこで今回の記事では、「恐れ多い」の意味について詳しく解説します。
使い方や「畏れ多い」との違い、類語・言い換えも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「恐れ多い」の意味

「恐れ多い」とは、相手に対して申し訳ないと思う気持ちや感謝を表す言葉です。「恐れ」には恐怖や不安などの意味がありますが、「恐れ多い」は敬意や感謝などのポジティブな気持ちも表せます。
目上の人や尊敬する人から特別な恩恵を受けた際や、高貴な人物や権威ある存在に対して感謝を表す際に、「恐れ多い」という言葉が適切です。この言葉には、相手に対する畏敬の念と、同時に自分がその恩恵を受けることへの恐縮さが含まれています。
「恐れ多い」と「畏れ多い」の違い

「恐れ多い」と「畏れ多い」は似たような場面で使われることが多いですが、厳密にはニュアンスが異なる言葉です。「恐れ多い」の「恐れ」は、主に「恐怖」や「不安」などの要素が含まれています。つまり、相手の存在や行為に対する畏敬の念に加えて、その存在に対する畏怖(いふ)の感情が含まれていることが多いです。
一方、「畏れ多い」の「畏れ」は、敬意や尊敬の念を示す際に使われることが多く、特に神仏や非常に高貴な存在に対して用いられることが多いです。このため、「畏れ多い」は「神聖なものや非常に高貴な存在に対して抱く深い敬意」を強調する表現として使えます。
「恐れ多い」は一般的にビジネスシーンで上司や目上の人に対して使いますが、「畏れ多い」は天皇や神仏など非常に高位に対して使われる場合が多いです。
【シーン別】「恐れ多い」の使い方・例文
「恐れ多い」は、感謝の気持ちを伝えたり、相手に対して何かを依頼したりする際に活用できます。ビジネスシーンでは、以下のような場面で使う場合が多いです。
感謝・お詫びの気持ちを伝える場合
「恐れ多い」は、ビジネスシーンで相手に感謝やお詫びの気持ちを伝える際によく使われる言葉です。相手の厚意や善意に対して、過分であると感じる場合や心から恐縮する場合に適しています。
- この度のご支援、誠に恐れ多く存じます。
- ご迷惑をおかけして、恐れ入ります。
一文目は、上司や取引先などから特別な支援や助力を受けた際に使います。「恐れ多く存じます」を使うことで、相手に対する深い感謝と恐縮を表現できます。二文目は、相手に対する負担を考慮し、恐縮している気持ちを強調したいときに有効です。
遠慮の気持ちを伝える場合
「恐れ多い」は、遠慮の気持ちを伝える場面でも使われます。相手の厚意に対して、恐縮して辞退したい気持ちを表すために使うことが多いです。
- 恐れ多いのですが、そのご厚意は遠慮させていただきます。
- このようなお席にお招きいただき、恐れ多く存じますが、今回は遠慮させていただきます。
上記の文章は相手の厚意に対して感謝しつつも、断る場合に有効です。相手の気持ちを尊重しながら、控えめな態度を示せます。
何かを依頼する場合
「恐れ多い」という言葉は、何かを依頼する際に使うことも多いです。特に、自分が相手に負担をかけると感じる場合や、相手が自分よりも高位の立場にある場合に、この表現を用いて丁寧さを強調します。
- 恐れ多いお願いですが、この件についてご指導いただけないでしょうか。
- 恐れ多いことですが、私もそのイベントに参加させていただいてもよろしいでしょうか。
自分の依頼が過分であると感じる時に、「恐れ多いお願い」というフレーズを使うことで、謙虚さと敬意を示せます。
「恐れ多い」の類語・言い換え

「恐れ多い」には、いくつか類語・言い換え表現があります。相手や場面に応じて、適切に使い分けることが大切です。
恐縮
「恐縮」は、相手からの厚意や好意、または迷惑をかけたことに対して、感謝や申し訳ない気持ちを表す言葉です。ビジネスシーンでは、丁寧さや謙虚さを示すために使われます。
- お忙しい中、ご対応いただき恐縮しております。
- ご迷惑をおかけして、誠に恐縮ですが、ご確認をお願いいたします。
- 恐縮ですが、今一度ご確認いただけますでしょうか。
「恐れ多い」と同様に、さまざまなビジネスシーンで使える言葉です。
僭越ながら
「僭越ながら」は自分の立場や役割をわきまえつつ、あえて発言や行動をする際に使います。特に自分が相手に対して過分なことをする、または言うと感じる場合に適しています。
- 僭越ながら、私の意見を述べさせていただきます。
- 僭越ながら、一つ提案させていただければと思います。
- 僭越ながら、この場をお借りして一言ご挨拶申し上げます。
「自分にはその権利や立場がないかもしれませんが、あえて申し上げます。」というニュアンスを持つ表現です。
おかげさまで
「おかげさまで」は、他者からの助力や支援のおかげで物事がうまくいったことを感謝する表現です。「自分一人ではなく周囲のサポートがあってこそ」、という謙虚な気持ちが込められています。
- おかげさまで、プロジェクトが無事に完了しました。
- おかげさまで、弊社は10年目を迎えられました。
なお、「おかげさま」は目上の相手にも使える言葉です。
申し訳ない
「申し訳ない」とは、相手に対して謝罪や感謝の気持ちを表す際に使われる言葉で、「自分の行動が相手に迷惑や負担をかけたことを申し訳なく思う」という意味があります。ビジネスシーンでは、ミスや迷惑をかけた際に使うことで、誠意を持って謝罪することができます。
- ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
- お忙しい中、対応していただき申し訳ないです。
「申し訳ない」は目上の相手にも使えますが、親しい相手に適した言葉です。上司や取引先などに謝罪する際は、「申し訳ございません」を使いましょう。
「恐れ多い」を使う際の注意点

「恐れ多い」はさまざまなビジネスシーンで使えますが、誤った使い方は相手の印象を悪くする場合があります。良好な人間関係を維持するためにも、「恐れ多い」の注意点を把握しておきましょう。
目上の相手に対して使う
「恐れ多い」は目上の相手に使う言葉であり、同僚や後輩など自分と同等または下の立場に使うのは不適切です。相手によっては嫌味と捉えられる可能性もあるので、「恐れ多い」は目上の相手だけに使いましょう。ただし、親しい目上の人には、他人行儀な印象を与えないように「恐れ多い」を使わない方が良いケースもあります。
過度の使用は避ける
「恐れ多い」を過度に使いすぎると、立場が低いことをアピールしていると思われる可能性があります。例え相手が目上の人でも、「恐れ多い」は適度に使うことが望ましいです。
「恐れ多い」を正しい方法で使って良好な関係を築こう
「恐れ多い」という表現は、ビジネスシーンで相手に敬意と謙虚さを示すために有効です。上司や取引先に対して、感謝や謝罪、依頼の際に「恐れ多くも」や「恐れ入ります」といった表現が適しています。
「恐れ多い」を使うことで相手への敬意を強調し、丁寧なコミュニケーションが可能になります。また、相手に良い印象を与え、相手と良好な信頼関係を築くことができます。

