気分が落ち込んでしまう、やる気が出ない、眠れないなどのうつ病で現れる「うつ状態」の症状に加えて、異様に元気で眠らなくても行動できるなどの「躁状態」の症状も現れるのが、躁うつ病(双極性障害)です。躁うつ病には2種類のタイプがあり、うつ状態で医療機関を受診するケースが多いため診断が遅れがちという問題があります。
今回は、躁うつ病の原因やタイプ、うつ病との違いに加えて、症状を改善するための治療方法について解説します。
躁うつ病(双極性障害)とは

躁うつ病とは「双極性障害」とも呼ばれる、気分障害の一種です。気分高揚感や万能感などが現れる「躁状態」と、意欲が出ない、憂うつな気分になるなどの「うつ状態」の2種類の症状が、安定した期間を挟みながら現れます。簡単に言えば、極度に元気な状態と落ち込んだ状態が繰り返される心の病気です。
躁うつ病を発症する年代は20~30代が多いですが、発症年齢は10歳程度から高齢者まで幅広く、世界的に見ると男女問わず10人に1人程度の割合で発症するといわれます。
躁うつ病の原因
多くの心の病気と同様に、躁うつ病の原因もはっきりしていませんが、原因の1つとして遺伝が考えられます。家族に躁うつ病の人がいる場合、いない場合と比較すると発症する割合が高くなることがわかっています。
ただし、直接的な原因となる遺伝子が特定されているわけではありません。家族に躁うつ病の患者がいても発症しない人が少なくないことから、必ずしも遺伝的要因だけが原因ではなく、環境的要因が原因となっていることも考えられます。
躁うつ病の2つのタイプ
躁うつ病には、症状の重さによって2種類のタイプに分けられます。
・双極Ⅰ型障害
激しい躁状態の症状が現れるタイプの躁うつ病です。Ⅰ型の躁状態は周囲の人から見ても明らかに普段とは異なることがわかるほどで、日常生活に支障をきたすこともあります。躁状態がⅠ週間ほど続いた後、安定した期間を挟んでうつ状態が現れます。
・双極Ⅱ型障害
Ⅱ型はⅠ型よりも躁状態の症状が軽く、Ⅰ型のように日常生活に支障をきたすほどの激しい躁状態がない場合に診断されます。一般的には、周囲から見ても「普段よりも元気」「あの人らしくない」と思われる程度の軽い躁状態が4日ほど続くのみです。しかしⅡ型の方が症状が軽いとは一概には言えず、うつ状態はⅡ型の方が長く、症状も重いといわれます。
うつ病との違いは?
うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下、不眠などのうつ状態のみが現れます。一方、躁うつ病はうつ病にもみられるうつ状態と躁状態両方が現れ、安定した時期を含めて一定期間繰り返しながら続きます。つまり、躁うつ病とうつ病はうつ状態が現れるという共通点はあるものの、まったく異なる病気とされています。
躁うつ病の場合、医療機関を受診した際にうつ状態のことが多く、うつ病と診断されがちです。その後、躁状態も発症することによってはじめて躁うつ病と診断されるため、正しい診断が遅れることが多い病気です。実際、うつ病で受診した患者の1~2割は後に躁うつ病と診断されるといわれ、正しい診断まで数年単位かかることもあります。
躁うつ病の症状

前述したように、躁うつ病には「躁状態」と「うつ状態」の2種類の症状があります。それぞれ具体的にどのような症状があるのか、解説します。
躁状態
躁状態のときは、以下のような症状が現れます。
・気分の高まり
・人の意見に耳を貸さない
・怒りっぽくなる
・普段よりおしゃべりになる
・眠らなくても平気になる
その他にも、浪費や集中力の欠如、誇大妄想なども躁状態の症状です。
Ⅰ型の躁うつ病の場合は、高額な買い物をしたり職場で上司に暴言を吐いて辞表を叩きつけるなど、金銭や社会的信用を失う可能性があるほどの激しい躁状態になることもあります。
うつ状態
うつ状態で現れる症状は、うつ病の症状とほぼ同じです。
・気分の落ち込み
・やる気が出ない
・不安感
・眠れない
・疲れやすい
・息苦しさや頭痛、肩こりなどの身体的症状
躁うつ病では、これらの躁状態とうつ状態を繰り返し、そのサイクルには個人差があります。躁状態とうつ状態の間は安定しているばかりではなく、気分が落ち込んでいるにもかかわらず活発に行動するなど、躁状態とうつ状態が一緒になった混合状態となることもあります。
躁うつ病の治療方法

躁うつ病は、放置していても自然に治ることはありません。そればかりか、徐々に症状のサイクルが短くなっていきます。しかし、心療内科や精神科で適切な治療を受ければ症状の改善やコントロールは可能です。
医療機関における躁うつ病の治療では、以下でご紹介する治療が行われています。
薬物療法
他の心の病気と同じように、躁うつ病の治療でも薬物療法が基本となります。うつ病の治療とは異なるのは、気分安定薬を使用するという点です。躁うつ病の薬物療法では、気分を安定させて躁状態とうつ状態両方に作用するリチウムやラモトリギン、バルプロ酸などの気分安定薬が多く用いられます。気分安定薬を6ヶ月以上継続して使用することで、再発を防ぎます。
うつ病に用いられる抗うつ薬は躁状態を悪化させる可能性があるため基本的には用いられませんが、症状によっては抗うつ薬や抗不安薬を使用する場合もあります。
心理社会的療法
薬物療法と並行して行われるのが、心理社会的療法です。この中には、病気と向き合う心理教育、自分の考え方を自覚した上で客観的な考え方ができるようにする認知行動療法、再発予防のために生活リズムを安定させる社会リズム療法などが含まれます。
反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)
躁うつ病を治療で行われるのは上記の薬物療法と心理社会的療法の2種類ですが、これらに加えて新たな治療法として、先進医療である「反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)」があります。これは、電気や磁気の力で脳の神経細胞を刺激することでうつ症状を改善させる方法です。
躁うつ病の中でもうつ症状が長く続き、薬物療法の効果も得られないケースでは、反復経頭蓋磁気刺激療法が保険適用となりうつ症状の改善効果が期待できます。
カウンセリングを受けるのも1つの方法

躁うつ病を疑って治療を受けたいけれど、心療内科や精神科の受診を躊躇してしまう方もいるでしょう。そのような場合は、まずカウンセリングを受けてみることをおすすめします。近年は電話やオンラインでのカウンセリングに対応しているカウンセラーを見つけられるので、自宅にいながら心の病気の相談が可能です。
フリーランスワーカー.jpには、精神科の看護師や心理カウンセラーが登録しており、スキルを出品しています。誰にも言えない心の悩みを相談したい、躁うつ病かもしれないけれど病院で治療を受けるべきかなどの相談に対して、適切なアドバイスを受けられるでしょう。躁うつ病をはじめとした心の病気は、初期症状の段階での対処方法が症状改善に大きく関わります。この先どのように対処すればいいか悩んでいる方は、ぜひカウンセリングを利用しましょう。
まとめ
躁うつ病は症状を放置していると悪化し、日常生活に大きな影響を及ぼしかねない病気です。早い段階で適切な治療を受ければ症状の進行を抑制し、改善が期待できます。しかし躁状態で受診するケースが少ないことから、躁うつ病は正しい判断が遅れがちです。心の悩みにつながる病気なので、医療機関の受診を躊躇してしまうことも、躁うつ病の診断が遅れる要因にもなっています。
医療機関へ行きづらいという方は、カウンセリングを受けるところから始めるのも一案です。もし症状が気になる場合はフリーランスワーカー.jpで相談できるカウンセラーを見つけて、まず相談してみるところから症状の改善を目指してみましょう。

