発注者とフリーランスの関係は「お客様と外注業者」の関係で、基本的にフリーランス側が弱いと考えられています。フリーランスの6割がパワハラを、4割がセクハラを受けた経験があるという調査もあります。(※1)
良かれと思った言葉や接し方がきっかけで、思わぬ展開になってしまうかもしれません。
フリーランスに対する接し方や、ハラスメントの線引きについてご紹介いたします。
(※1)「フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート」は、協同組合日本俳優連合、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)、一般社団法人プロフェショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会により実施
どんなハラスメントが多い?
暴言や人格否定的な言動
過度な叱責、高圧的な態度によりフリーランスの尊厳を傷つけ、精神的なダメージを与える行為です。まったく根拠のない話や罵倒する内容を不特定多数に流布し信用を落すようなものもあります。会社という組織に守られないフリーランスは信用が第一。廃業に追い込まれてしまうこともあります。
過度な要求
- 過度なリテイク
納品されたものに対して品質や数量などが不足していれば、手直しを要求することは法的にも問題ない行為です。ですが、合理的な理由がなかったり、何度も修正を要求したりすることはハラスメントとして問題とされています。 - 不当な拘束
フリーランスは労働時間という概念がありません。それを良いことに深夜や休日など営業時間外に返答を要求し、拒否すると契約を解除すると迫る行為はハラスメントです。仕事とは関係なく、長時間な苦痛を感じる環境に追い込むような肉体的な拘束も入ります。
代金の支払い拒否
契約で報酬が定められているのにもかかわらず一方的な減額やまったく支払わない行為です。創作物などを利用する「権利」を奪うことも含まれます。ハラスメントを超えて不法行為となりますので気をつけなければいけない行為でしょう。
著作権の有無については、業務が終わった後の後出しだとトラブルになる場合があるので、業務を発注する前に必ず受注者に確認しておきましょう。
性的な要求
発注の見返りに性的な関係を強要し、断わられると不当な対応をすることです。
2人きりでの食事を強要したり、個人的な連絡先の交換を強要したりすることもこれに該当する場合があります。
「今度飲みに行こうよ」と軽い気持ち言ってしまって、後から痛い目にあう…ということも、昨今では珍しくはありません。
ハラスメントは規制される流れ

ハラスメントの厳正化が進んでいる
フリーランスにも労働者を保護するパワハラ規制が適用される可能性はあります。厚生労働省の「職場におけるハラスメント関係指針」では、個人事業主などにもハラスメントについて必要な注意を払うよう努めることが望ましいとしています。
また、政府では下請法の改正をおこなっている最中で、2023年の通常国会への関連法案の提出を目指しています。現状でも裁判に発展した場合、契約関係だけではなく「実態はどうだったか」など、総合的に判断され責任を問われる可能性は非常に高くなっています。
不法行為に問われる
ハラスメントによりうつ病を発症したなど損害が発生した場合には不法行為に問われ、ハラスメントをした本人が損害賠償責任を問われる可能性があります。
自社の従業員がフリーランスに損害を与えた場合には、会社側には「使用者責任」が問われ損害金を支払う義務も発生します。
フリーランスに敬意をもって接する
フリーランスが訴訟するには費用や労力の壁が高く、泣き寝入りとなることが多くありましたが、近年はユニオンが結成されるなど交渉力が高まっています。フリーランスへの安易な言動は経営上の課題にもなり始めています。
ただ、相手に敬意をもって、ビジネスマンとしての最低限のマナーを守って仕事をしていれば全く憶する必要はありません。
ハラスメントの線引きとは?
合理的な範囲であったかどうか
ハラスメントかどうか実際に判断するかはとても難しいと言われています。暴行や傷害であれば行為自体でハラスメントや犯罪に問うことができ、性的な発言や行為であれば被害者側が証拠などを持っていれば第三者も判断しやすいでしょう。
一方、フリーランスとの単価交渉や打合せの場面では線引きが難しい面があります。双方の関係性によっても判断が変わるからです。そこで、いくつかのハラスメントになるポイントを確認してみましょう。
- 業務上必要な行為であったか
- 目的のために必要な手段であったか
- 第三者から見て、常識の範囲内であるか
それをしなくても目的を達成できたのに行ったことならハラスメントと判断される可能性が高いと言えるでしょう。例えば個人的な事情の詮索や、業務上の人間関係を破壊することも該当すると考えられます。
契約書に盛り込む
経営者としては従業員がフリーランスにパワハラ行為をしないように管理する必要があります。ハラスメントの防止対策としてフリーランスとの契約書に「ハラスメントを行わないこと、発生した場合は加害側を処分する」と明記することです。法的な効力がある契約書には強い抑止力があります。
社内で教育・周知をする
「外部の業者にならハラスメントをしても良い」「問題になりにくいだろう」と考えている従業員は、少数ですが存在します。ハラスメントについて教育し、不法行為や契約違反に問われることがあると、従業員に周知させる必要があります。
まとめ
労働基準法が適用されないフリーランス。働き方が変化している今、不当な扱いを受けないよう政府が保護対象にする流れになっているので、今後は意識した仕事の仕方が求められています。
発注者もフリーランスも幸せになれる社会を目指し、ひとりひとりが心をくばり相手に接することが大切ではないでしょうか。


