普段使っているカレンダーの月名は、日本語では1月~12月のように数字を使って表しますが、これ以外にもそれぞれの月には他の呼び方があることをご存知でしょうか。そのような異称や別名は日常的に使う名称ではないもののさまざまな由来があり、知っていると俳句や季節の挨拶などに使えるほか、昔ながら日本の文化や歴史などを知ることができる機会になるでしょう。
そこで今回は、7月の和風月名や異称、別名の意味や読み方をご紹介します。
和風月名とは?

日本語では月名を数字で表しますが、一部のカレンダーには「○○月」のような名称を併記していることがあります。これを和風月名といい、明治5年まで日本で使用されていた太陰太陽暦、いわゆる旧暦で季節感を表現した名称です。
和風月名の基準となる旧暦とは
旧暦とは、月の満ち欠けを基準に作られている暦で、新月の日を1日としています。これに対し、現在使用されているグレゴリオ暦、いわゆる太陽暦は太陽を基準に月日を数えます。
月の満ち欠けで計算した旧暦の1ヶ月は29.5日、1年は354日となり、1年が365日の太陽暦より11日短くなってしまいます。旧暦は季節に大きなズレが生じてしまうことから、旧暦では3年に一度、「閏月」を設けて1年を13ヶ月に増やしてズレを調整しています。
閏月で調整をしたとしても、旧暦は太陽暦とそもそも基準が異なるため、両者の間には1ヶ月程度の遅れが生じます。旧暦を元に作られた和風月名を太陽暦に当てはめると、現在の季節感とズレているように感じるのは、このような基準の違いが理由なのです。
7月のさまざまな異称・別名

7月の異称や別名には、意外にも多くの種類があります。古くから使用されている言葉は、俳句の季語として使用されているものが多くのが特徴です。しかし旧暦を元にしている言葉が多いため、7月の異称や別名でも秋の季語が多くなります。現在の季節感と比較すると、季節を先取りしているように感じられる名称が多いかもしれません。
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文月(ふみづき・ふづき)
文月とは、7月の和風月名です。カレンダーに併記されていることが多いので、目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。「ふみづき」または「ふづき」と読む文月は、7月のイベントである七夕行事として和歌や詩歌を書いた短冊を夜風に広げてさらすなどの中国から伝わった風習、もしくは稲穂がふくらむ時期であることから「含月(ふくむづき)」や「穂含月(ほふみづき)」が転じて文月になったなど、その由来には諸説あります。
七夕月(たなばたづき)
7月7日の七夕は、全国各地でさまざまなイベントが行われることもあり、夏のイベントとして馴染み深いものです。七夕月とはそのまま、七夕がある7月を指す異称です。
ただし、七夕についても太陽暦と旧暦に違いがあり、七夕は本来旧暦における7月7日を指します。つまり、旧暦で示す七夕は太陽暦では8月初旬に行われる行事なのです。そのため、一部地域では8月に七夕を行うことがありますが、一般的には旧暦よりも約1ヶ月早い7月に七夕の行事を行うことが一般的となっています。
愛逢月(めであいづき)
愛逢月は、七夕にまつわる異称です。七夕は、天の川で引き離された織姫と彦星が1年に一度、7月7日に出会える日として知られています。この伝説は、中国から伝わったといわれており、愛逢月とは愛し合っている織姫と彦星が出逢う月、という意味が込められています。
巧月(こうげつ)
巧月も、七夕に関係する異称です。七夕は、中国で裁縫や織物、歌などの音楽の技術向上を祈る「乞巧奠(きっこうでん)」という星祭りが奈良時代に日本に伝わったのがルーツといわれます。日本に伝わった乞巧奠は、詩歌管弦の上達を祈る宮中行事となりました。
このように、七夕のルーツは芸術などの技術が上達することを祈る祭りであったことから、素晴らしい技術や器用さを表す「巧」という漢字が当てられた「巧月」が、七夕のある7月の異称となったと考えられています。
秋初月(あきはづき)
7月はまだまだこれから暑さが厳しくなる時期ですが、文字通り「秋の初め」を意味する「秋初月」という名称が使用されることがあります。こちらの異称も旧暦の7月を示しており、それがそのまま太陽暦の月に当てはめられています。
旧暦の7月はすでに秋に入っている時期であるため、秋の初めの月という意味で、秋初月が7月を表す言葉となっています。
餞暑(せんしょ)
餞暑の「餞」には、「送る」という意味があります。つまり、餞暑とは暑さを送り出す月、という意味です。残暑の季節に、暑さに対して餞(はなむけ)を送るという意味を持つ秋の季語でもあります。
涼月(りょうげつ)
7月は梅雨が明けて本格的な夏が始まる季節で、涼しさはほとんど感じられないと思う方は多いでしょう。しかし、旧暦の7月は現在の8月で、旧暦が使用されていた当時は暑い夏が終わりに近づき涼しさを感じられる季節でした。そのため、涼月が7月を示す異称となりました。
女郎花月(おみなえしづき)
女郎花とは、7月から10月頃まで咲くスイカズラ科の多年草で、秋の七草の一つです。また、お盆に供える盆花としても知られています。女郎花は旧暦の7月頃に咲くことが多かったことから、女郎花月が7月を表す異称となりました。
なお、現在も8月15日頃はご先祖様をお迎えする「お盆」の風習がありますが、お盆は旧暦7月15日に行われる「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という行事や期間を指す言葉です。時期的には太陽暦の8月となるため、現在は8月にお盆の行事を行うのが一般的ですが、一部地域では旧暦の月に合わせて7月にお盆の行事を行うところもあります。
建申月(けんしんげつ)
建申月とは、古代中国にルーツを持つ7月の異称です。古代中国の暦では、北斗七星の取っ手の先が北を指す冬至を迎える11月から暦をスタートし、十二支を12ヶ月に当てはめていました。1年が11月から始まるため11月が十二支の最初「子」となり、さらに北斗七星の取っ手の先を指すことを意味する「建」を組み合わせた「建子月(けんしげつ)」を、1年の最初の月の名称としていました。
11月スタートの暦で十二支を当てはめると7月は申年にあたるため、「建申月」が7月の異称になったというわけです。
「7月」はどう読むのが正しい?

7月は通常、「しちがつ」と読むことが多いですが、「なながつ」という読み方を聞いたことがある方は多いでしょう。どちらが正しい読み方なのか迷ってしまうことがあるかもしれませんが、結論から言うとどちらも誤りではありません。
数字の「7」は「しち」と読まれることが多く、月名でも「しちがつ」と読むのが一般的です。しかし、「1月」と発音がよく似ていて聞き間違いを引き起こすことが多いため、読み方を変えられる7月の方を「なながつ」と読むことがあります。聞き間違いを防ぐ必要がある場では、あえて「なながつ」と読むことが増えるでしょう。
まとめ

7月の別の呼び方は和風月名である「文月」がよく知られていますが、その他にもこれほど多くの異称や別名があることは余り知られていないかもしれません。実際に使用する機会はそれほど多くはありませんが、いろいろな種類の異称名や別名を知ることにより、昔ながら日本の文化や風習を知ることができるのは、興味深いことではないでしょうか。

