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フリーランスの労働環境を救う『フリーランスユニオン』とは?

個人のスキルや経験を活かして働くフリーランスは、多様な働き方の1つとして注目を集めています。一方で、クライアント側の一方的な要求や、代金不払いといったトラブルも増加しています。今回はフリーランスとして働く人たちの権利や保護を充実するための「フリーランスユニオン」の役割についてご紹介します。

ユニオンとは?

ユニオン」は労働組合の1つで「合同労働組合」のことを言います。

日本の労働組合は、会社ごとに設立されているのが特徴で、ほとんどが従業員1,000人以上の大企業でしか労働組合は活動していません。しかし、大企業はコンプライアンス意識が高く、企業内での自浄作用が期待できます。そもそも、企業の体力があり従業員の賃金や福利厚生は恵まれているので、経営陣と労働組合は友好的な関係といえます。

賃金不払いやハラスメントなど、多くの労働問題を抱えているのは中小企業や個人事業主です。

ですが、従業員の人数が少ないため交渉力が弱く、そもそもやり方が分からないのが現実です。ユニオンは会社ごとではなく「地域」「職種」「働き方」で働く人たちが団結することで、企業側と交渉や地位向上を目指して行こうというものです

参照:初の全国組織「フリーランスユニオン」発足へ NHK

フリーランスでもユニオンに入れる

フリーランスでもユニオンに加入することができ、2人以上いれば設立することもできます。

労働組合は日本国憲法28条で保証された「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」を実現するためのもので労働組合法として整備されています。

憲法に明確に書かれているとても強力な権利です。労働組合はストライキ、サボタージュ、作業所の閉鎖といった強行手段すら認められています。

たとえば「プロスポーツ選手」は労働基準法では「労働者」ではありませんが、労働組合法では「労働者」に該当します。ニュースなどで「日本プロ野球選手会が球団側と交渉をした」というのは団体交渉のことを指します。このようにフリーランスも対象となる場合もあります。

フリーランスの労働環境とは?

賃金保障がない

フリーランスは案件ごとに仕事をこなして収入を得ていますが、もっとも問題とされているのが「単価」です。最低賃金法で地域の企業体力や生活保護の給付水準などさまざまな統計を反映させた最低賃金が定められています。

しかし、フリーランスに最低賃金は適用されません。時給換算にすると最低賃金を下回る発注に苦しめられるフリーランスは少なくありません。

お世話になってる会社からの発注であっても、受注する際に最低賃金を明らかに下回っているような案件は見送る勇気が大事です。また、自分を安売りしなくても済むように、「スキルを高めてからフリーランスになる」ということも重要です。

雇用保険や労災保険が使えない

労働者であれば失業した場合、一定の要件を満たせば失業給付を受給できます。業務中・通勤中のケガ・病気では労災保険という手厚い保護がされています。しかも雇用保険の保険料は月々数千円程度、労災保険では自己負担がありません。

しかし、フリーランスは業務上の安全管理や体調管理についても、クライアント側に義務が問われないことが多いことが現実です。

一方的に不利な契約となることも

フリーランスは業務委託契約で働くことになります。原則として、両者の合意があれば、どのような内容でも問題ありませんが、「フリーランス」という契約なのに、正社員と同じように、毎日事務所に出勤させるような契約は違反となる場合があります。また、契約獲得や継続のために低単価、長時間拘束、途中での契約変更、購入品や講習の強制など、不利な条件で受入れざるを得ないこともあります。

ハラスメントに対抗しにくい

「労働関連法が適用されない」ことや有利な立場を利用して、フリーランスに対してパワハラやセクハラをするケースもあります。厚生労働省は自社だけでなく、取引先など外部の人にもハラスメント規制法に則り対応するように求めています。

※2022年9月現在で、フリーランス保護新法の方針が示されました。現在は公示された『フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性』をもとにパブリックコメント(意見)を募集している段階です。今後可決されたら改めてご報告いたします。

フリーランスユニオンの役割

クライアント側への交渉

ユニオンの力の源は「人数」です。1人ではクライアント側と戦えないフリーランスでも、何人も集まれば大きな力となります。弁護士など専門家、行政機関、有識者、支援団体などさまざまな方法がユニオンでは使えるようになります。一方的な単価の引き下げや納期短縮などから泣き寝入りしないで済むかもしれません

相談を受ける・意見交換を行う

ユニオンによっては相談や人材紹介など解決に向けた支援をしてくれます。

ユニオンに加入しなくても、厚生労働省委託している事業で フリーランス110番 という無料相談ができる団体も存在します。

社会的に孤独になりがちフリーランスですが、クラウドソーシングの フリーランスワーカー.jp でメッセージ機能や訪問履歴を使えば、フリーランス同士の交流をとることも可能です。ひとりで悩まないで、解決策を見つけ出す場を探してみましょう。

社会への発言力を高める

抜本的に問題を解決するには法制度の整備を進める必要があります。社会保障の格差の問題や、インボイス制度などフリーランスの生活に大きな影響を与える問題もあります。

ユニオンは情報発信することで、世論の力を借りて社会問題を訴えています。

ユニオンの力が強くなり世論が高まれば国会議員などの共感や協力を得やすくなり、よりフリーランスにとって良い労働環境を実現することもできるかもしれません。

実は違法かも!?チェックしてみよう

「当たり前」から「違法」に気づこう

今までの商習慣やクライアントとの関係から「そういうものだ」と思っていても、実は違法なものがあるかもしれません。フリーランスユニオンなどがあっても、本人たちがよくないことと気づいていなければ、状況は改善されることはありません

フリーランスが何の法律からも保護されていないわけではありません。「独占禁止法」や「下請法」はクライアントの有利な立場の悪用を規制しています。とくにフリーランスが今後の取引のために受入れざるをえない場合には違法性が強まります。

報酬の支払い遅延・減額がある

理由もなく期日までに報酬を支払わない、予定額から減額をすることです。

著しく低い報酬の一方的に決められる

クライアント側が客観的にみて低い報酬を決めてしまうことです。単純に金額を比較するだけではなく実態まで問題となります。短い納期を指定して費用が増大したのに増額に応じない、クライアント側都合で設備投資などさせたのに考慮しないことも当てはまります。

やり直しさせられる

クライアント側に落ち度があるのに修正を求めることです。

たとえば、システム開発案件で発生した設計変更を、クライアントはフリーランス側に伝え忘れ、フリーランスは変更前の内容で納品しました。そこで「仕様と違う」とやり直しをさせる行為です。

ただ、誰が見ても明らかに納品のクオリティが低い場合は、フリーランス側に責任がある場合も考えられます。感情的になってクライアントに連絡をして、事態がエスカレートしてしまわないように気をつけましょう。

受領拒否や返品される

作成を初めていたのに途中で「プロジェクトが中止になった」と代金も支払わずにキャンセルして受取拒否することや、フリーランスが納品したものをクライアントが「キャンセルになったから」と取り決めもなく返品する行為をいいます。例外として、最初から依頼できるかどうかわからないデザインコンペや、テストライティングなど、依頼をすることが確約ではないケースもあります。
もし、内容に不服があれば、「最初から話を断る」という決断をしましょう。

契約の範囲外のサービスを求められる

WEBサイトの作成が業務内容なのに保守メンテナンスを無償で行わせることや、まったく業務と関連のないクライアント側の顧客に対する営業活動に参加させることです。

「範囲外」を広く考えられているのが特徴です。協賛金の要請といったことや、フリーランス側が利用範囲を決めて提供した資料や素材を無断で使ってしまうようなことも当てはまります。

クライアント側に悪気がない場合もあるので、「これをやると○○分程かかるので、工数を計算して追加費用を見積もりしましょうか?」という具合で提案をしたら、追加費用を上乗せ請求できる場合もあります。
なんでもハイハイ言うことを聞くのではなく、自分自身で収入をハンドリングしましょう。

必要以上の秘密保持義務

クライアント側がフリーランスに対して教育投資をすることがあります。自分の仕事だけをやらせたいという都合から、フリーランスに秘密保持義務、競業避止義務、専属義務などを課して活動を阻害することです。

契約書はよく読んで、「これはどういう意味ですか?」「こういうことをやった場合はどうなりますか?」と質問をして、お互い契約内容を理解をした上で契約を締結しましょう。

フリーランスとして開業する時に、自分の理想的な働き方・収入 など、ビジョンを明確にしておくと、秘密保持契約が将来的に不利になるか?どうか?に気づくことができます。

その他にも対象はある

紹介した以外にも、独占禁止法や下請法にはたくさんの違法とされている例があります。
自分が不利だと感じたときには「もしかして」と調べて見ましょう。

労働関係の法律で保護されることもある

フリーランスにも労働者性が認められることがあり、労働基準法によって保護されることになります。労働者性はユニオンを通じてクライアント側に交渉をする際にも重要なポイントになってきます。

労働者性が認められるにはさまざまな角度から総合的に判断されます。

では、どのような点があるのかチェックしてみましょう。

労働基準法での3つのポイント

  • 許諾の自由がない

依頼や業務指示に対してフリーランスが自分で諾否を決められるか

  • クライアントが指揮監督している

業務の仕方について具体的な指示をされているかどうか(販売ノルマなど)

  • 拘束性がある

勤務時間や場所を指定されて、社員と同じように管理されているかどうか

報酬の支払い方や代替要員がいるかなど複合的に見られますが、クライアントとフリーランスが実質的に「雇用主と従業員」の関係であれば労働者と判断されます

労働組合法での3つのポイント

  • クライアントの組織に組み込まれているか

具体例として評価や研修制度がある、勤務地や業務日が決められている、制服や身分証が渡される場合は労働者性が強まります。

  • 契約内容が一方的・定型的

交渉の余地もなく報酬の支払い方法も一方的に決定されてしまう場合など、フリーランス側に自由意思がない場合です。(交渉の余地がある場合は該当しない)

  • 報酬の支払い方に労働者性がある

時間外や休日手当に相当するものがある、報酬が業務時間によって算出さるなど一般的な労働者と同様の管理方法がされている場合にも労働者性が高まります。

フリーランスが依頼を受けるかどうかの選択権がない関係性であったり、業務に細かい指示がされ時間や場所が拘束されたりする場合には、より労働者性が高いと考えられます。

ただし、具体例にあてはまれば必ず労働者性があるわけではなく、細かく実態をみて判断されます

まとめ

フリーランスは賃金の保障がなく、不利な契約を結ばざるを得ないこともあります。フリーランスユニオンはみんなの声を1つの大きな力にすることで、クライアントとの対等な関係を築くことを目的にしています。また、社会に対してフリーランスが抱える問題を訴える役割もあります。

多様で柔軟な働き方がより広げていくためにもフリーランスの地位向上には大切な意味があります。もしも今の状況が違法や正しくないと感じたら、フリーランスユニオンに問い合わせてみるのも良いでしょう。

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この記事を書いた人

まるりん

フリーランスワーカー.jpの創設者 株式会社乙栄商会 代表取締役 乙丸英広。パソコン1台、資産50万円を元手に2013年10月 足立区の実家で起業。

株式会社乙栄商会は、10期目突入。設立から400社以上の企業から6,500件以上の新規取引を創出。(※1)最近では上場企業のwebメディアの編集業務や小室哲哉さんの楽曲アーカイブを請け負う。

2021年 経済産業省から補助金の採択をされる。
2023年 協力会社のご縁があり、資金調達成功。
現在は自社webメディアのフリーランスメディア.jpを育てている。

(※1=2013年〜2023年9月現在)