中小企業やフリーランスなど個人事業主を守るための「下請法」という法律をご存じでしょうか?仕事を発注する際、下請法を知らずにいると場合によってはペナルティが課せられる場合もあります。
ここでは下請法のルールや対象をしっかり学んでいきましょう。
下請法のキホンとは?
下請法とは?
正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」といいます。
下請事業者は、親事業者(発注者)から値下げを迫られた時に、今後の取引のため…と妥協しなくてはならないことが多いでしょう。
下請法とは親事業者が立場を濫用するのを規制して、公正な取引と下請事業者の保護を目的にした法律です。独占禁止法を整備している国は多いですが、中小企業や個人事業主の保護に特化した法律がある国は少ないと言われています、
どんな取引が対象?
- 製造委託
親事業者の依頼に応じて下請事業者が製品製造や加工を行うことです。
【例】
自動車メーカーが部品メーカーに部品製造を委託する
電機メーカーが部品製造に使う金型の製造を専門会社に委託する - 修理委託
修理を請け負った物品や自社で修理している物品の修理を委託する場合です。壊れたものを使える状態に戻すのが修理委託なので、点検・メンテナンスは含まれません。
【例】
自動車ディーラーが修理を依頼された車を、自動車整備工場に委託する場合 - 情報成果物製作委託
ソフトウェアメーカーや広告会社など情報成果物の作成を行う親事業者が、アプリケーションやCM画像の作成を下請事業者に委託することです。
【例】
プログラム(スマホゲームや会計ソフトなど)
映画、テレビ番組、YouTube動画、アニメなどの作成
設計図,ポスターのデザインなど - 役務提供委託
サービスを提供している親事業者が、サービスの全部または一部を下請事業者に委任することです。
【例】
自動車ディーラーが販売した自動車のメンテナンスを整備工場に委託する場合
運送会社が目的地までの一部区間を他の運送会社に委任して荷物を運ぶ場合
規模によって対象が変わる
下請法はすべてに適用されるわけではなく、業種や資本金によって定められています。

このように、「親事業者」の要件に当てはまらなければ下請法を守らなくても良いと考えた事業者が、資本金の少ないペーパーカンパニーを設立することも考えられます。そこで取引量など実態をみて下請法を適用する「トンネル会社規制」も定められています。
親事業者の義務
下請法では親事業者に4つの義務を定めています。
- 書面などの交付
取引内容、取引金額や支払期日などを記載した書面を下請事業者に交付する義務があります。これは下請事業者の承諾があれば電子メールなどに代えることができます。 - 書類の作成・保存
親事業者が「書類を保存してないから知らない」と言い逃れできないように2年間保存する義務があります。 - 下請代金の支払期日を定めること
親事業者は物品などを受け取った日から60日以内で、なるべく早く代金を支払う日を定めなければなりません。 - 遅延利息の支払義務
親事業者が代金を支払わなかったときは、物品などを受け取った日から60日を経過した日から、ペナルティとして遅延利息を支払わなければなりません。
禁止される行為

買いたたき
親事業者が代金を決定するときに限度を超えた低価格を押し付けることです。低価格かどうかは通常支払われる金額や原材料費の市場動向、他の取引先との差、十分な協議が行われたか?など、ケースバイケースで判断されます。例えば、昨今では経験の浅いWEBライターへの発注が1文字1円を下回るような案件です。最低賃金を明らかに下回るような案件は、トラブルになるので最初から受注しない方が良いでしょう。
代金減額
下請事業者に責任がないのに、発注時に決まっている代金から減額して支払うことで、もっとも行政処分が多い例です。協力金と称して取り立てたり、代金は変えずに数量を増やしたりする行為も対象とされています。
自社製品・サービスの強要
必要がないのに親事業者が指定する物品やサービスを購入・利用させるものです。
受取拒否や不当返品
下請事業者に責任がないのに親事業者が発注した物品を受け取らない、受け取ったあとに返品をすることです。
その他の禁止行為
一般の金融機関で現金化などすることが困難な手形を交付、親事業者が協賛金を徴収したり従業員を派遣させて利益を害する、不当な給付内容の変更・やり直しといった行為も禁止行為となります。
報復処置
親事業者の禁止行為を行政に報告した報復として、取引停止をする行為も禁止です。
違反すると公正取引委員会から処分される

公正取引委員会ってなに?
公正取引委員会は内閣総理大臣の直轄である「内閣府」の外局です。他の指揮監督を受けることなく、独自に活動をしています。公正な取引を実現するために違反が疑われる親事業者に立入調査を行うこともあります。
どんな罰則がある?
- 勧告
親事業者が下請法に違反している場合には勧告をしています。違法行為を止めて下請事業者に代金の支払いなどを求めたり、社内体制の整備をさせたりもします。公正取引委員会は中小企業庁とも連携して、親事業者に改善のための指導も行っています。 - ウェブサイトなどで公開
下請法に違反して勧告を受けた親事業者は公正取引委員会のウェブサイトや報道により公開されます。事件の概要から勧告内容まで詳細に公開されて社会的信頼を低下させます。 - 罰金
親事業者としての義務を果たさなかったり、公正取引委員会へ虚偽報告や立入検査を拒否する場合には、違反行為をした本人と所属する親事業者に50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
トラブルを未然に防ぐためには?
- 発注内容を書面にする
口約束によるトラブルを未然に防ぐためには発注内容を書面で残すことが大切です。親事業者の義務でもありますが、あらかじめ条件確認ができるため後になってから問題になるリスクを減らすことができます。 - 認識のすり合わせを怠らない
書面では書ききれない内容や時間の経過で現状とズレが生じていることもあります。親事業者は「分かっているはずだ」と思わず、定期的に取引内容について意見・情報を交換する場を設けましょう。
まとめ
下請法では買いたたきや代金減額といった代金についてのトラブルが多く扱われています。おかしいなと思ったら、下請法で検索してみると良いでしょう。
フリーランスワーカー.jp上の取引では、下請法を守った取引を推奨しています。
お互いルールを守って気持ちの良い取引をするように心がけましょう。


