ゲームやWebサイトなど、イラストが必要になるシーンは多々あります。今回は「イラストを初めて依頼するから、相場がわからない」「立ち絵をお願いするとき、どんなことに気を付ければいいの?」といった疑問を持っている方のために、相場や発注時のポイントなどについて解説します。
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イラスト料金の相場

立ち絵やバストアップなどのイラストを発注する際、まずはどのくらいの相場なのかを知っておきましょう。
デザイン会社への相場
イラストの依頼先として、最も安心感があるのがデザイン会社です。会社によってそれぞれ得意なジャンルや強みを持ち、長年の実績がある会社は特に信頼性が高いでしょう。デザイン会社に依頼する最大のメリットは、発注後のタスクが少ないことです。多くの場合イラストレーターだけではなく制作進行などのスタッフも抱えているため、進捗管理などをする必要はありません。こまごましたヒアリングなどが発生することはありますが、基本的にはチェック日や納品日まで待っているだけです。しかし、納品までの時間は長めにかかり、費用も他と比べて高額になります。
相場としては、10cm✕10cmのカラーイラストの場合、5,000円~2万円です。サイズが大きくなると、比例して料金も高くなります。一般的なモチーフではなくオリジナルのキャラクター作りから依頼する場合、3万円~10万円ほどかかります。
フリーのイラストレーターへの相場
フリーのイラストレーターは、過去の作品をポートフォリオとしてSNSなどに掲載しています。そのため、依頼前からその人の作風やテイストなどを理解できるので、いざ作品が完成してから「こんな雰囲気はイメージとは違う」といったミスマッチが起こりにくいです。一方で、イラストレーターはあくまでイラスト制作が仕事であるため、進行管理などはお願いできません。ディレクションは自分たちで行う必要があるので、その分担当者の業務は増えます。
相場としては、10cm✕10cmのカラーイラストの場合、5,000円~1万円です。とはいえ、フリーのイラストレーターの場合は個人差が大きいのでまずは見積もりをお願いしましょう。先にこちら側の予算感を伝えると、すり合わせがスムーズに進みます。
クラウドソーシングやスキルシェアサービスを利用した際の相場
最近では、クラウドソーシングやスキルシェアサービスなどのプラットフォームを利用して、イラストレーターとして活動している方が増えています。利用している層が幅広いことが特徴で、イラストの勉強をしている学生や趣味で描いている方、プロとして活動している方など様々です。自身の作品を掲載していることが多いので、ミスマッチが起こる可能性も低いです。コンペ形式で発注した場合、一度に数十の案を集めてそこから一人を選出するやり方もできます。しかし、ユーザー層の幅が広い分、実力差が大きい点は注意しなくてはなりません。
相場としては、10cm✕10cmのカラーイラストの場合、3,000円~5,000円です。しかしプロとして活動しながらこうしたプラットフォームを活用している方に依頼する場合は、より高額になります。
ゲームイラストの相場
誰に依頼をするかだけでなく、どの媒体で利用するかによっても相場が変わります。ゲーム用のイラストはB5〜A4サイズの立ち絵で5万円前後が相場です。ゲームのキャラクターをデザインするには別途料金がかかります。また、ゲームに使う場合は1枚の立ち絵だけでなく、複数の表情やポーズが必要です。その分、料金は高額になります。
ソーシャルゲームイラストの相場
ソーシャルゲームの場合、キャラクターのイラストは6万円前後です。一般的なゲームより必要な枚数は少ないこともありますが、それでも1キャラごとにいくつかの表情やポーズのイラストが必要になります。
その他のイラストの相場
その他のイラストとして、VTuber用のイラストは5万円ほどかかります。キャラクターデザインから依頼する場合は、別途3~4万円が必要です。ライトノベルに使うイラストは、表紙が20万円、挿絵が3万円前後が相場です。商用利用せず個人的に楽しむためのイラストは、立ち絵が1万円、バストアップのみ5,000円程度となります。
イラスト費用が決まるポイント

相場は上記の通りですが、実際はイラストの要件によって価格は大きく変動します。どのような点がポイントとなるのか、5つに分けて解説します。
サイズやカラー
価格を最も大きく左右するのは、サイズやカラーです。サイズが大きければ大きいほど工数が増えるほど制作時間もかかるため、料金は高額になります。ポスターのA1サイズの場合、8万円~20万円が相場です。もっと小さいサイズであれば、数千円で依頼することもできます。また、白黒よりもカラーのイラストの方が相場は高いです。
カット数や背景
イラストのカット数が増えるほど、料金は高額になります。同じキャラクターのイラストでも、カットに応じて価格は変わるので注意しましょう。また背景を入れるとその分料金は上がります。同じサイズや同じカット数でも、キャラクターの人数が増えると料金も高くなります。ただし、カット数が増えると1点あたりの価格が割安になることも。構図も料金を左右するので、確認が必要です。
著作権
イラストを発注する時、著作権についてどう扱うかを決めなくてはなりません。何の契約も交わさなければ、基本的にイラストレーターに帰属します。著作権利用許諾契約を結ぶことで、もともと利用する予定だったもの以外の媒体に二次利用できるようになります。料金はものにもよりますが、カットで5,000円程度が相場です。なお、著作権と似た権利として著作者人格権というものがありますが、これは著作者だけが持つ権利で譲渡はできません。
修正回数
初めからこちらが思っていたもの通りの出来になることは少なく、修正を行うことで理想のイラストになることが多いです。しかし修正回数が増えるとイラストレーターの業務量が増えるので、料金が高額になります。また、完全に出来上がってからの修正は非常に時間がかかります。構成や線画などの段階で一度チェックして、そこからどこをどう直してほしいかを指示した方が修正回数は抑えられます。
納品スケジュール
依頼から納品までの時間が短いほど、料金は高くなります。基本的にはまずどのようなイラストがほしいかをイラストレーターに伝え、ラフを提出してもらい、確認と修正指示を出します。そこからラフの修正が戻り、着彩イラストが提出されます。内容を確認したら必要に応じて修正を行い、最終データが納品されるという流れです。この期間が短いとイラストレーターの負担が大きくなります。
イラストを発注する際に気を付けるべきこと

イラストを発注した経験がないと、どのように依頼すればよいかわからないことも多いものです。そんな方も、以下の6つのポイントを抑えておけば大きなトラブルなく納品してもらえるでしょう。
テイストや絵柄にあった方に発注する
イラストを発注する時に最も大切なことは、こちらが希望するイラストの雰囲気と、イラストレーターの方の作品の雰囲気が合致していることです。例えば同じ「花」というモチーフでも、温かみのあるもの、幻想的で不思議なもの、不吉さや不穏さを感じるものなど、テイストは千差万別です。キャラクターのイラストでも、少女漫画風、劇画風、アニメ風など様々な絵柄があります。
テイストや絵柄があった方に発注すると、理想に近いものを制作してもらうことができます。それぞれ得意な分野と苦手な分野があるため、あまりにかけ離れたものを発注すると、クオリティが下がりますし納品までの時間もかかってしまいます。依頼前に、イラストレーターやデザイン制作会社が掲載している、過去の作品やポートフォリオを確認しましょう。
指示はできるだけ具体的にする
イラストの発注をしたことがないと、制作してほしい作品についてどのように伝えればいいか悩んでしまうかもしれません。事前のヒアリングでこちらの理想をしっかり伝えることは非常に重要で、ここが不十分だと何度修正を重ねても納得のいくものが出来上がらないものです。
キャラクター1人分のイラストを依頼するにしても、立ち絵かバストアップか、どのような表情にするのか、背景はいるのかなど、細かく指定します。最もよくないのは「かっこいい女性」「かわいい子供」など、抽象的な言葉での説明です。こういった言葉は一人ひとりのとらえ方が異なり、ほとんど参考になりません。「髪の長さはこのくらい」などより具体的に伝えましょう。
イラストイメージを共有する
イラストについて指示をする際、イメージを共有するとお互いの理解度が高まります。例えば「風景は自然豊かな場所」と口頭で説明するより、森の写真や公園のイラストなどを見せた方がより具体的に伝わります。キャラクターのイラストも「表情はこのくらい満面の笑顔」「着ている服はこういう形のワンピース」など、いくつも見せることで少しずつこちらの理想をわかってもらうことができます。
理想に沿ったイメージを見つけるのは大変かもしれませんが、方向性の違う作品ができてしまい、それを修正する方がより多くの工数がかかります。初めに多少の労力をかけてイメージを見つけた方が、結果的に少ない負担で完成できるので、必ず準備しておきましょう。
イラストの使い道や点数を共有する
依頼の際、イラストの使い道や必要な点数などはしっかり明確にしておくことが大切です。当たり前に感じるかもしれませんが、実はこういった内容の行き違いからトラブルが発生することはそれほど珍しいケースではありません。イラストの立ち絵を依頼するにしても、ポスター用なのか、アプリゲーム用なのか、Webサイト用なのかによってサイズや解像度が異なります。
また用途によってターゲットも変わるので、ユーザーに受け入れられるイラストを用意するためにも、こういった点の確認は大切です。点数については料金が左右されるポイントになるので、契約上のトラブルを防ぐためにも書面に残して確認しておきましょう。
権利関係やお金について明確にする
納品されたイラストの権利はどうなるのか、契約書に明記します。著作権も受け取る場合は、イラスト制作料とは別に支払いが発生します。もし著作権を作者に残すのであれば、二次利用についての取り決めが必要です。二次利用とは、例えばポスター用にお願いした立ち絵のイラストを、後々ほかのグッズに利用することなどを指しています。このとき、二次利用料金を支払わなければ契約違反になってしまいます。
また、その他の点についても何にどれだけお金がかかるかは明確にしなくてはなりません。通常よりも短い納期で依頼する場合はスピード納品として料金が発生したり、事前に決めた回数以上の修正が発生した場合もお金がかかります。
こまめにコミュニケーションをとる
イラストを発注したら納品日まで連絡を絶つのではなく、こまめにコミュニケーションを取ることが大切です。事前に入念なヒアリングをしても製作途中で疑問点が出ることはありますし、本来はすぐに修正できたちょっとした勘違いも時間が経ったせいで大きなズレになってしまうこともあります。
デザイン会社に依頼せず個人のイラストレーターに発注した場合、進行管理をする必要もあります。ラフ画をいつまでに作ってもらうか、修正に何日かかるかなど、スケジュールをきちんと共有しながら進めることで納品までスムーズに進められます。
イラストが発注できるおすすめのプラットフォーム
イラストを発注する際、プラットフォームを利用することがおすすめです。具体的にどのようなサービスがあるか、6つご紹介します。

クラウドワークス

クラウドワークスとは2011年に設立された国内最大級のクラウドソーシングサービスです。ユーザー数は410万人、クライアント数は67万社に上ります。ランサーズ同様、多様な案件を発注することができますが、手数料がかかります。報酬金額によって変動しますが、手数料は20%程となっています。
ココナラ

ココナラとは、国内最大級のスキルマーケットです。納品から支払いまですべての流れはオンラインで完結します。イラストレーターが出品しているパッケージで自社の求めているものがあればそれを購入することができ、ぴったりのサービスがなければイラストレーターに内容を伝えて見積もりを作ってもらうこともできます。ただし、販売者が22%の手数料・購入者には5%の手数料が発生します。
立ち絵などのイラストを頼む際、相場を理解しておくことが大切です。誰に依頼するのか、どのような用途かなどによって金額は変わるので、まずは必要なイラストの要件を整理しましょう。

