近年は企業内などさまざまな場所でのパワハラが問題となっていますが、「クラッシャー上司」という存在をご存知でしょうか。場合によってはパワハラ上司よりも厄介で、クラッシャー上司がいることで仕事を続けていけなくなることもあります。
そこで今回は、クラッシャー上司の特徴や悪影響、対策について解説します。
クラッシャー上司とは?

クラッシャー上司とは、部下への厳しすぎる命令や叱責などでストレスを与え、社員を休職や退職に追い込む上司のことです。これは、筑波大学教授で産業医でもある松崎一葉氏の著書「クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち」で定義された言葉です。
パワハラが社会問題化している中、クラッシャー上司もその言動が企業へ悪影響を及ぼすことで問題視されています。
クラッシャー上司の特徴
クラッシャー上司には、いくつかの特徴があります。主に挙げられるのが、以下の5点です。
・自分が中心・正しいと考えている
他人のことを考えずに自分が中心・自分の考えが正しいと思っているのが、クラッシャー上司の特徴の1つです。部下にどれほど負担やストレスをかけていたとしても、自分が正しいことに自信を持っているため、自分の考えを押し付けます。もし反論された場合でも耳を貸さず、その相手に執拗に攻撃することもあります。
・仕事の上では優秀
仕事上で高い評価を受けているなど、クラッシャー上司はいわゆる仕事ができる人間で、成果を上げることで自信を持っています。しかし、その成果も部下に命令をして思い通りに動かすことで得られているケースも少なくありません。また、優秀な成果を上げているため、上の人間からの信頼が厚いことが、クラッシャー上司の高圧的な態度や企業内での環境改善につながりにくい原因となっています。
・自分と同じレベルを他者に求める
クラッシャー上司は仕事ができる人物ですが、自分と同じことを他人もできると考えているため、部下にも自分と同じレベルを求めます。つまり、他人の目線に立って物事を考えられない特徴があります。
・自己防衛をする
クラッシャー上司は自分を守ろうとする意識が強く、自分の失敗を認めようとしません。もし自分がミスをした場合は、部下にそれを押し付けようとします。一方で、部下がミスをしたときは必要以上に責め立て、自分への悪影響が及ばないように自ら処理してしまうこともあります。
・部下を褒めない
部下が成果を出しても褒めることがない点も、クラッシャー上司の特徴です。成果を上げるまでの過程を見ずに、結果だけで良し悪しを判断してしまいがちです。自分と同じレベルを求めるので成果を出すのが当然と考えており、自分ができることを部下が行っても褒めることはありません。
パワハラ上司との違い
クラッシャー上司はパワハラ上司と同じように見えますが、両者には明らかな違いがあります。
パワハラ上司は企業内での立場を利用して、相手に叱責や嫌がらせを行います。暴力的になるケースも多く、自分のストレスを発散するために理不尽に大声を上げて憂さ晴らしのように部下に当たり散らします。
一方のクラッシャー上司は、「自分の言動がすべて正しい」という意識の元で命令や叱責をします。それがクラッシャー上司本人は仕事を進める上で必要なことと考えているので、周囲にもその言動が正当性があると認識されてしまいがちです。そのため理不尽さな言動は少なく、八つ当たりが多いパワハラとは大きく異なります。
クラッシャー上司のターゲットになりやすい人の特徴
クラッシャー上司は、必ずしもすべての人に対して執拗な攻撃をするわけではなく、ターゲットになりやすい人が存在します。では、どのような人がターゲットになりやすいのでしょうか。
・優秀な部下
自分が優秀で正しいと思っているクラッシャー上司は、仕事ができる優秀な部下に自分の地位を脅かされると考えます。優秀な部下は、クラッシャー上司が地位を守るために自分の評価や成果を横取りされてしまったり、正当な評価をされなかったりすることがあります。
・自分に自信がなくおとなしい人
自分に自信がない、おとなしい人は命令や叱責をされても言い返すことが少なく、反論することもないのではないでしょうか。そのため、クラッシャー上司のターゲットになりやすいといえます。
クラッシャー上司が及ぼす悪影響

クラッシャー上司は、部下のやる気や士気を下げてしまうので、企業へ悪影響を及ぼす可能性が高い存在です。そこで、具体的にどのような悪影響が考えられるのかをご紹介します。
退職者の増加と人材流出
クラッシャー上司は、部下に命令や執拗な攻撃でストレスを与えて、やる気を削いでしまいます。そのような上司がいる企業では仕事を続けられないと考えるのはごく自然のことなので、退職者が増えることが考えられます。
優秀な人材がクラッシャー上司のターゲットになりやすいことから、人材が流出するばかりか優秀な人材も定着しづらくなるでしょう。
企業の評判悪化
クラッシャー上司がいる企業や部署では、職場環境が悪化することが考えられます。優秀な人材が流出することによって業務効率化もうまくいかなくなり、売上ダウンにつながることもあるでしょう。売上ダウンは給与につながる重要な要素であるため、残った社員のモチベーション低下、商品やサービスの質低下などの悪影響によって、世間一般の企業への評判が悪化する可能性があります。
人材育成の困難化
クラッシャー上司によって退職者が増えることに加えて、クラッシャー上司の反応や行動をいちいち意識しながら動かなければならなくなる環境は、部下の成長を妨げます。そもそも、クラッシャー上司は優秀な部下を思わないことが多いので、社内の人材育成が困難となるでしょう。
クラッシャー上司への対応方法

クラッシャー上司は仕事ができる分、部下はパワハラ上司よりも被害を訴えにくいものです。クラッシャー上司の被害に遭っている方は、休職や退職に追い込まれる前に以下の対応方法を検討してみましょう。
異動の相談をする
まず、クラッシャー上司から離れることが大事です。可能であれば、部署の異動願いを出してみましょう。別の部署でクラッシャー上司から離れられるだけでもストレスが軽減し、働き続けられる可能性は高くなります。
被害を記録しておく
クラッシャー上司の言動は、就業規則に違反していることがあります。もし会社側へ訴える機会があった場合に備えて、明確な証拠を残しておくべきです。いつ、どのようなことを言われたか、させられたかを明確に書き残したり、録音したりするなどして記録を残しておきましょう。
産業医に相談する
産業医が在籍している企業であれば、産業医に相談してみましょう。産業医は体の健康だけではなく、精神的な健康のケアもしてくれるので、クラッシャー上司によって強いストレスを感じているときは、一度相談してみることをおすすめします。
まとめ
クラッシャー上司は企業側が対処するべき問題ですが、そこまで手が回らない企業が多いのも事実です。部下側のみが対処することは難しいかもしれませんが、ストレスを受けて休職や退職まで検討しているところまで追い詰められている場合は、外部のカウンセラーに相談する方法もあります。
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