「~したり」「したりする」は、文章を書くときに比較的よく使用されています。しかしこの言葉は誤用が多いことで知られており、普段書いている文章で無意識に誤った使い方をしている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「~したり」「したりする」の意味や正しい使い方、使用する際の注意点と言い換え方法を解説します。

「~したり」「したりする」とは

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「~したり」「したりする」は、並列助詞(並立助詞)と呼ばれる助詞の一種です。その言葉通り、2つ以上の事柄を等しくつなぐために使う助詞で、対になる名詞や動詞を組み合わせて使用します。
並列助詞である「~したり」「したりする」は、2つ以上の名詞や動詞をセットにして使うのが基本です。そのため、原則的に1文で1回のみ使うことは誤りです。
「~したり」「したりする」の使い方と例文
並列助詞の「~したり」「したりする」は以下に挙げる例文のように、2つ以上の事柄を並べて表現する際に使用します。
・昨日は食事に出かけたり買い物をしたりした。
・その映画を観て、私たちは泣いたり笑ったりした。
並列助詞は2つ以上の事柄を等しくつなぐためのものなので、3つ以上の事柄に対しても使えます。使う回数が2回以上であれば文法的に誤った使い方にはならないものの、3回以上「~したり」を使うと文章が長くなって読みづらくなることがあるので、あまり一般的ではありません。
「~したり」「したりする」の敬語表現
「~したり」「したりする」を敬語にするには、「なさったり」や「されたり」を使用します。
・○○さんは、先日の休暇で海外へ出かけて観光をされたり買い物をされたりしたそうです。
「~したり」「したりする」を使う際の注意点

「~したり」「したりする」はよく使われるからこそ、誤った使い方が多い言葉です。この言葉を使う際は、以下のポイントに注意しましょう。
2回目の「たり」は省略しない
誤用で最も多いのが、「~したり」を1回のみ使うケースです。まずは、例文で確認してみましょう。
・先週の休みは、読書をしたりテレビを観ていました。
この文章では、「読書をする」と「テレビを観る」を並べる必要があります。よって、2つ目の「たり」は省略せずに、
・先週の休みは、読書をしたりテレビを観たりしていました。
と書かなくてはなりません。
並列できない言葉の組み合わせでは使用しない
並列助詞は2つ以上の事柄を等しくつなぐために用いられますが、使えるのはあくまでもそれらの事柄が関連している場合のみです。まったく関わりのない事柄を並べることには使用しません。
2つの事柄を並べているにもかかわらず誤用に該当するのが、以下の例です。
・料理をしたり、役所で手続きをしたりした。
料理をすることと役所での手続きは直接関係がなく、並べるのも不自然に感じられるでしょう。このような場合に並列助詞は使えないので、「~たり」で並べることも誤りです。
「~たり」の後に「など」を使用しない
3つ以上の事柄を並べたいけれど「~たり」を2回以上使うのが長すぎる場合、2つ目を「~たりなど」でまとめて表現することがあります。
・昨日を会議をしたり営業先へ出向いたりなどして忙しかった。
この文章は、会議や営業先へ出向く以外にも仕事が多かったという意味を持ちますが、「など」を付けると冗長な印象を与えることがあるので、後述する言い換え表現を使うのがおすすめです。
ビジネス文書やフォーマルシーンでは使用しない
前述したように、「~したり」「したりする」には敬語表現がありますが、この言葉は口語・話し言葉です。敬語表現があるとはいえ、ビジネス文書やフォーマルシーンではあまり使われません。敬語を使用する履歴書や面接の場でも、この表現を使うことは控えた方がいいでしょう。
「たり」を1回のみで使える場合とは?
原則、「~したり」「したりする」は2つ以上の事柄をセットにして2回以上で使う言葉です。しかし、場合によっては1回で使えるケースもあります。それが、「例示」として使う場合です。
例示とは、複数の事柄がある中で1つのみを例として挙げることです。例示として使う場合は、「たり」を単独で使用できます。
・休みの日は、部屋の掃除をしたりする。
こちらの文は、休みの日に行う複数の事柄の中から「部屋の掃除」のみをピックアップして例に挙げた「例示」です。つまり、この他にも行うことがあることをほのめかしながら代表的な事柄のみを挙げている場合は、例示として「たり」を1回のみ使えるというわけです。
なお、「~したり」「したりする」を1回のみ使う誤用が多い理由の1つとして、長くなりがちな文章を省略するため以外に、この例示と混同されていることも挙げられます。
「~したり」「したりする」を言い換える方法
「~したり」「したりする」を使うと文章が長くなることが多く、何度も使っていると冗長でしつこい印象を与えてしまいます。そこで、他の表現で言い換える方法をご紹介します。
動詞の代わりに名詞を使う
「~したり」「したりする」で文章が長くなってしまう場合、動詞を名詞に言い換える方法があります。
・休日は本を読んだり映画を観たりします。
これを名詞で言い換えると、以下となります。
・休日は読書や映画鑑賞をします。
このように、動詞を名詞に変換することによりスッキリとした文章に変えられます。
「など」や「こと」を使う
2つの事柄を並べて表現するには、「など」や「こと」を使う方法もあります。
・休日は本を読んだり映画を観たりすることが多いです。
→休日は本を読むことや映画を観ることが多いです。
・休日は本を読んだり映画を観たりします。
→休日は読書や映画鑑賞などをします。
注意したいのが、「など」や「こと」で言い換えると名詞を使うより文章が長くなる可能性があり、稚拙な印象になってしまう点です。「など」と「こと」を何度も使うことがないよう、「~したり」「したりする」と上手に使いわけるのが、読みやすい文章を作るポイントです。
文章を区切る
「~したり」「したりする」を使って文章が長くなった場合は、文章を一度区切りましょう。
・先日の休暇は家族と海外へ旅行へ出かけたり、帰国後に友人の結婚式に出席して旧友との再会を果たしたりと、充実した日々を過ごしました。
→先日の休暇は、家族と海外へ旅行へ出かけました。帰国後は友人の結婚式に出席して旧友と再会を果たし、充実した日々を過ごしました。
2つ以上の事柄を表現する際も、「~たり」を使ってすべてを1文にまとめようとすると、どうしても長い文章になってしまいます。無理に1文にまとめる必要はなく、文章を区切っても同じ意味の文章を作れます。
・週末は友人とカフェでお茶を飲んだり食事をしたり、街歩きを楽しんだりしました。
→週末は友人とカフェでお茶を飲んだり食事をしたりしました。その後、街歩きも楽しみました。
特に3つ以上の事柄を並べる際は、上記のように途中で文章を区切って2文にする方が読みやすくなります。
まとめ
「~したり」「したりする」は文章を作るときに使い方を間違いやすいもので、ライターの仕事をしている方でも間違って使うこともあるでしょう。
ミスとして指摘されることが多いため、ライターの仕事をしている方は基本的な使い方を覚えておくべきです。これから在宅や副業でライターを目指している方も、今回ご紹介した言葉の使い方を覚えていれば、フリーランスの仕事に役立つ知識となるでしょう。