企業は期末になると、売上や利益などの財政状況をまとめ決算します。個人事業主であれば確定申告をするだけでよいのですが、法人の場合は決算が必要で、その手続きは複雑です。そこで今回は、法人決算を一人でできるよう、具体的な流れと必要な書類について解説します。
法人決算とは
法人決算とは、すべての企業が期末に行うもので、収益、費用、資産、負債などから一年間の損益をまとめます。事業年度の最後の月は決算期とよばれ、ここで決算報告書を作成。この書類をもとに税金の納付金額が確定し、2か月以内に納めます。
決算には税金の申告以外にも、経営分析をするという目的があります。財政面を振り返ることで、これからどのような事業活動をするべきか、現在どのような課題があったのかなどを分析します。また、株主や取引先に財務状況をお知らせすることも目的の一つです。さらに、金融機関から融資を受ける際には、決算書が必須となります。
法人決算の流れ
法人決算は、以下の手順で行います。
記帳
法人決算を行う前提として、1年分の記帳が完了していなくてはなりません。日々の取引すべてが整理されている状態で決算を開始するため、必ずもれなく記帳しておきましょう。
個人事業主の場合はまとめて記帳する方もいますが、法人であれば取引の数も多く、記帳作業は膨大な量です。なるべく毎日、それが難しい場合も週に一度は記帳する時間を取ってください。
試算表作成
試算表とは、記帳の内容が正しいかをチェックするための書類です。借方科目と貸方科目の金額が一致していれば、正しく記帳できているということになります。もし一致しなければ、どこかで内容がずれていたり、記入漏れがあるということです。口座の履歴などをさかのぼり、どこがずれているのかを探してください。
決算整理仕訳
決算整理仕訳とは、期内の未処理取引を整理することです。現金や預金の残高が帳簿の金額と一致しているか確認します。
そして、入金が来期になる予定の売上は当期の売上として計上し、商品購入の際にかかる前払い費用は当期分から控除してください。固定資産の減価償却を行い、有価証券の評価を調整したら仕訳帳に反映して完了です。
決算書作成
すべての仕訳が終わったら、決算に必要な書類を作成します。準備するのは、以下の通りです。詳細は次に解説します。
・貸借対照表(B/S)
・損益計算書(P/L)
・株主資本等変動計算書(S/S)
・個別注記表
・計算書類に係る附属明細書
・事業報告書
・事業報告に係る附属明細書
承認の獲得
決算書が完成したら、取締役会と株主総会に提出し、承認を獲得します。承認されない限りは正式な決算書として認められないため、必ず進めましょう。また、新しい事業年度開始から2か月に納税しなくてはならないため、なるべく早い段階で承認を得ることが大切です。
法人税申告書の作成
法人税申告書とは、法人税の申告に必要な18種類の書類のことです。別表1~18にわかれており、別表1は確定申告書、別表2~18は明細書と呼ばれています。別表の一覧は、以下の通りです。
別表1:各事業年度の所得に係る申告書―内国法人の分
別表2 同族会社等の判定に関する明細書
別表3(1): 特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書
別表3(1)付表:特定同族会社の留保金額から控除する留保控除額の計算に関する明細書
別表4:所得の金額の計算に関する明細書
別表5(1):利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
別表5(1)付表:種類資本金額の計算に関する明細書
別表5(2):租税公課の納付状況等に関する明細書
別表6(1):所得税額の控除に関する明細書
別表7(1):欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書
別表8(1):受取配当等の益金不算入に関する明細書
別表11(1):個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
別表11(1の2):一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
別表14(2):寄附金の損金算入に関する明細書
別表15:交際費等の損金算入に関する明細書
別表16(1):旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表16(2):旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表16(6):繰延資産の償却額の計算に関する明細書
別表16(7):少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書
別表16(8):一括償却資産の損金算入に関する明細書
別表16(9):特別償却準備金の損金算入に関する明細書
別表18:法人税法第七十一条第一項の規定による予定申告書・地方法人税法第十六条第一項の規定による予定申告書
税務署への提出と納税
決算書が完成したら、所轄税務署や都道府県税務署などに提出します。期末日から2か月以内に納税するためにも、早めに提出しましょう。また、決算書は保存が義務付けられているため、紛失・処分などしないよう気を付けてください。
法人決算に必要な書類
法人決算書を作成するには、以下の書類が必要です。
貸借対照表(B/S)
貸借対照表とは、決算日における企業の資産・負債・純資産の金額を示す表です。表の左側に資産を、右側に負債と純資産を記載します。左側は現金、商品在庫、土地などを示し、右側にこれらの資産の調達方法を記載します。
損益計算書(P/L)
損益計算書とは、企業の利益を表す表です。収益、費用、利益の3つが記載されており、売上高から費用を差し引いて利益を計算。利益は「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」にわかれます。
株主資本等変動計算書(S/S)
株主資本等変動計算書とは、貸借対照表の純資産の変動状況を示す表です。純資産を、株主資本、評価・換算差額、新株予約権、非支配株主持分の4つにわけて記載し、株主資本の変動状況を一覧にすることで、増減の原因を明確にします。
個別注記表
個別注記表とは、各計算書類に記載されていた注記を一覧にした決算書です。重要な会計方針に関わる事項は注記などの項目に区分し、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書から損益状態を把握するために必要な事項は注記が必要となります。
計算書類に係る附属明細書
計算書類に係る附属明細書とは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の内容を補足する資料です。具体的には、有価証券明細表、固定資産等明細表、社債明細表、借入金等明細表、引当金等明細表などの種類があります。
事業報告書
事業報告書は、決算書からは読み取りにくい事業の状態を示す書類です。会社役員に関する事項や会計監査人に関する事項、業務の適正を確保するための体制等の整備に関する事項などが記載されます。
その他、特定完全子会社に関する事項や親会社等との間の取引に関する事項も対象となります。
事業報告に係る附属明細書
事業報告に係る付属明細書とは、役員について重要な兼職状況の明細や、親会社等との間の取引に関する事項を表した書類です。役員が他の企業で執行役を務める場合などに作成します。
まとめ
法人決算は非常に煩雑な手間がかかり、作成しなくてはならない書類も多いです。通常の業務と並行して進めるのは難しく、特に経理の知識がなければ苦戦します。
そこでおすすめなのが、会計ソフトの利用です。特に弥生会計は法人決算が初めての方も簡単に書類が作成できるよう、どこにどんな情報を入力すればよいかわかりやすくまとまっています。これから法人決算にチャレンジする方は、ぜひ弥生会計をチェックしてみてください。


