ビジネスシーンでメールや手紙を書く際に、「時候の挨拶の使い方が分からない」「適切な時候の挨拶が分からない」という方も多いのではないでしょうか。時候の挨拶は必ずしも必要ではありませんが、ビジネスのマナーとして取り入れるのが一般的です。
誠実さや丁寧さが伝わり、相手に良い印象を与えられます。今回の記事では、ビジネスシーンで使える5月の時候の挨拶について詳しく解説します。上旬・中旬・下旬に分けて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【漢語調】書き出しで使用する5月の時候の挨拶

ビジネスシーンでは、漢語調を使用するのが一般的です。下記では、書き出しで使用する5月の時候の挨拶を上旬・中旬・下旬に分けて解説します。
5月全般
5月全般に使える主な時候の挨拶は以下の3つです。
新緑の候
春が終わりを迎え、夏が来たことを意味します。5月上旬〜6月上旬の間に使用できる言葉です。
若葉の候
春の日差しで、新しい草木が成長し始めたことを意味します。
緑風の候
緑風とは、初夏の時期に青々とした草木を通る爽やかな風のことです。爽やかな風が気持ち良いことを意味します。
5月上旬
5月上旬に使える主な時候の挨拶は以下の3つです。
惜春(せきしゅん)の候
惜春とは、過ぎゆく春を惜しむ気持ちを指します。暦上の春の終わりを告げる時期に使用できます。
新茶の候
新茶は八十八夜に摘む茶葉を指し、夏の始まりを意味します。
麗春の候
ひなげしと呼ばれる春の花が咲く時期になったことを意味します。
5月中旬
5月の中旬に使える主な時候の挨拶は以下の2つです。
薫風(くんぷう)の候
若葉の香りが漂い、爽やかな南風が吹く時期に使える言葉です。「緑」以外の言葉で表現したいときに有用です。
立夏(りっか)の候
暦上では5月は初夏となるため、夏が始まったことを意味します。
5月下旬
5月の下旬に使える主な時候の挨拶は以下の3つです。
万緑の候
見渡す限り緑がある時期に使う言葉です。青々とした緑が魅力的な春の終わりから初夏にかけて使用します。
軽暑の候
5月も終わりに近づくと、日差しが強くなります。暑くなると体調を崩しやすくなるため、相手の健康を気遣う言葉と一緒に使うと良いでしょう。
小満の候
生き物や農作物が立派に成長していく様子を表現する言葉です。二十四節気の一つで、5月21日〜6月5日頃に使用します。
【口語調】書き出しで使用する5月の時候の挨拶

口語調は親しい友人など、カジュアルなシーンで使用します。ただし、個人の顧客にも使える場合があるので、相手との関係性を考慮して選択しましょう。
5月上旬
5月上旬に使用する主な時候の挨拶は以下の3つです。
- 春の陽気に名残を感じつつ、暦の上では立夏を迎えました
- 爽やかな五月晴れに、夏の気配を感じる頃になりました
- 新緑が映える過ごしやすい季節となりました
5月中旬
5月中旬に使用する主な時候の挨拶は以下の3つです。
- 若葉がより深い青葉になる季節になりました
- 連休も終わり、少しずつ暑さを感じる日が増えてきましたね
- 5月も半ばとなり、木々の葉が鮮やかな緑色になる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか
5月下旬
5月下旬に使用する主な時候の挨拶は以下の4つです。
- 月も後半となり初夏の訪れを感じる時期となりました
- 紫陽花のつぼみが膨らみ、もうすぐ花を咲かせそうな時季ですね
- 葵祭も過ぎて、本格的な夏が近いことを感じます
- 梅雨の走りに濡れた緑も鮮やかな今日この頃
5月の結び文で使用する時候の挨拶

メールや手紙の最後には、必ず結びの挨拶を取り入れます。季節によって表現を変えて、文章を締めくくりましょう。
5月上旬
5月上旬に使用できる結びの挨拶は以下の3つです。
- 新緑が爽やかな風に揺られる美しいこの季節、皆様の健康とご多幸をお祈り申し上げます。
- 風薫る五月、どうぞお健やかにお過ごしください。
- 木々の芽吹くこの時季は体調を崩しやすいそうです。どうぞご自愛くださいませ。
5月下旬
5月下旬に使用できる結びの挨拶は以下の3つです。
- 過ごしやすい時季とはいえ、刻々と変わりゆく季節、くれぐれも健康に気を付けてお過ごしください。
- 梅雨入り前の変わりやすいこの時季、くれぐれも体調に気を付けてお過ごしください。
- 爽やかな初夏のみぎり、皆様のますますのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
挨拶状(送付状)を書くときの注意点

挨拶状を書くときは時候の挨拶を取り入れるのが、一般的なビジネスマナーです。その他にも以下の注意点を押さえておく必要があります。
- 基本構成に沿って書く
- 季節に合った時候の挨拶を選ぶ
- 頭語と結語は正しく組み合わせる
- 挨拶状は適切な時期に出す
注意点を把握せずに挨拶状を書いてしまうと、相手に悪印象を抱かせてしまう可能性があります。
基本構成に沿って書く
挨拶状は前文・主文・末文・後付が基本構成となります。
| 前文 | 頭語 | 「拝啓」「謹啓」など |
| 時候の挨拶 | 季節の言葉を取り入れた挨拶文 | |
| 時候の挨拶に続く言葉 | 相手の繁栄を祝う言葉・日頃の感謝の言葉 | |
| 主文 | 起こし言葉 | 「さて」「この度は」など |
| 本題 | 挨拶状で伝えたい用件 | |
| 末文 | 結びの言葉 | 相手の健康と繁栄を祈る言葉 |
| 結語 | 「敬具」「謹言」など | |
| 後付 | 日付 | 令和◯年◯月◯日 |
| 差出人名 | 挨拶状を書いた人の名前 | |
| 宛名 | 挨拶状を送る人の名前 |
挨拶状は縦書きが基本ですが、最近では横書きも珍しくありません。横書きでも失礼には当たらないので、内容や相手の属性などを考慮して選択すると良いでしょう。
句読点は使用しない
句読点は縁を切ることが連想されるため、挨拶状では使用しないのが基本です。また、古来では正式文書に句読点を使わなかったことも理由と言われています。読みやすさを重視して挨拶状でも句読点を使用する人もいますが、特に理由がない場合は使わない方が無難です。
段落おとしはしない
段落おとしとは、文章の始めに1文字分のスペースを開けることです。一般的な文章では段落おとしが必要になりますが、挨拶状では基本的に不要です。
ネガティブな言葉は避ける
挨拶状の内容によっては、ネガティブな言葉に注意が必要です。例えば、結婚祝いの挨拶状では「別れる」「離れる」などの言葉はタブーとされています。また「度々」「くれぐれも」などの重ね言葉も、結婚を繰り返すことを連想させるため避けなければなりません。悪気なくネガティブな言葉を使用してしまうケースもあるので、十分注意したうえで挨拶状を書きましょう。
頭語と結語は正しく組み合わせる
挨拶状には、頭語と結語を入れるのが一般的です。頭語は挨拶状の始めに使用し、結語は締める際に使用します。頭語と結語にはさまざまな種類がありますが、組み合わせに注意が必要です。誤った組み合わせで使うと、相手に非常識と思われてしまう可能性があります。なお、挨拶状でよく使用される頭語と結語は以下の通りです。
| 種類 | 頭語・結語 |
| 一般的な挨拶状 | 拝啓・敬具 拝呈・敬白 啓上・拝具 |
| 改まった挨拶状 | 謹啓・謹言 謹呈・謹白 恭啓・敬白 |
カジュアルな挨拶状の場合は、頭語と結語を省略しても問題ありません。ただし、始めに「前略」「前文お許しください」と入れるようにしましょう。そして最後は、「草々」「かしこ(女性のみ)」で締めくくります。
挨拶状は適切な時期に出す
挨拶状は内容だけでなく、出すタイミングも重要です。早すぎたり遅すぎたりすると、相手に失礼となります。挨拶状を出す適切なタイミングは以下の通りです。
| お知らせ・招待状 | 事務所移転・開業(起業) | 当日の1ヶ月前まで |
| 転勤・転任通知 | 異動の1週間前まで | |
| イベントなどへの招待 | 返信あり:開催日の1ヶ月前まで 返信なし:開催日の1週間前まで | |
| お祝い・お礼 | お祝い・お見舞い | 出来事を知ったらすぐ |
| お世話になったお礼 | 当日中 | |
| 頼み事へのお礼 | 当日中 | |
| お詫び状 | ミス・トラブルへのお詫び | 当日中 |
お祝い・お礼・お詫びは当日中が基本です。どうしても対応が難しい場合は、遅くても3日以内には送るようにしましょう。
適切な時候の挨拶を取り入れて挨拶状を書こう
時候の挨拶は相手を気遣う姿勢が伝わるため、挨拶状や送付状に取り入れるのがビジネスマナーです。ただし季節によって適切な言葉は異なるので、送る地域も考慮したうえで選択する必要があります。その他、基本構成や頭語・結語の組み合わせも事前に押さえておきましょう。
ビジネスマナーを守ることで、相手に良い印象を与えられます。ぜひ今回の記事を参考にして、挨拶状や送付状に時候の挨拶を取り入れてみてください。

