文章に正しい情報や説得力のある情報を盛り込むには、第三者が書いた情報を元に書くことは少なくありません。他の情報を使う場合は、きちんとその情報元についての記載がなければ、著作権侵害にあたる恐れがあるため注意したいところです。
今回は、第三者の情報を文章で使う際に押さえておくべき「引用」「参考」「参照」「転載」の意味や違い、使い方などについて解説します。
引用・参考・参照・転載の意味と使い方

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文章を書く専門職であるライターの方に限らず、個人のブログやビジネス用の資料など、文章を書く機会は意外に多いものです。文章を書くために第三者の情報を使った場合は、基本的にその文章内に元となった情報を記載しなければなりません。その際に用いられる言葉が、「引用」「参考」「参照」「転載」です。
これらの言葉にはそれぞれ異なる意味があり、文章内での情報の取り扱い方によって正しく選択する必要があります。そこでまずは、4つの言葉の意味と使い方についてご紹介します。
引用
引用とは、他の人が書いた文章を引っ張ってきたことを意味します。文章を自分で変えることなく用いるので、正しく使用しなければ著作権を侵害する可能性があり、引用をする際は注意が必要です。
著作権法の第三十二条では、引用についてこう定めています。
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。
※引用:著作権法 | e-Gov法令検索
上記の著作権法で定める「正当な範囲」で引用をするには、以下に注意しなければなりません。
・引用する必然性があること
・自分の文章と明確に区別していること
・引用元を明記すること
・引用した文章を改変していないこと
・引用した文章の割合が少ないこと
これらの要件を満たしていれば、著作権者の許可を得ることなく引用が可能です。
この要件の中でも、文章の割合は重要です。文章の主従関係は、割合が大きい方を「主」、少ない方を「従」とするのが基本であるため、引用した文章の方が多い場合は主従関係が成り立たなくなるのです。よって、引用をする際は元の文章と自分の文章を区別しつつ、自分の文章の割合が多くなるように作成する必要があります。
参考
参考とは、自分のイメージや考えを得た場合に、そのヒントとなった特定の情報や表現などの情報を指します。参考を使う場合は引用とは異なり元の情報を引っ張ることはありませんが、文章を書く上で役に立った情報全般を指すこともあるため、参考を使う範囲は広くなります。
参考とした情報について、文章内で元情報を記載することはありますが、必ずしも必要ではなく参考情報が記載されないこともあります。
参照
参照は参考とよく似ていますが、参照は元情報となる図や写真、資料などを自分の文章と照らし合わせるときに使用します。そのため、参照はあくまでも目に見える情報のみに用いられます。
わかりやすい参照の例として、以下の2つの文章を見てみましょう。
1.この記事は、海外の論文を参照して執筆しました。
2.この記事は、この作家の意見を参照して執筆しました。
上記の文章は、1が海外の論文を元に記事を執筆したという意味となり、論文という形になった目に見えるものを照らし合わせているので「参照」を使うのが正しい例です。一方、2は目に見えない第三者の考えと照らし合わせているため誤りで、「参考」を使うべきです。
このように、「参照」は目に見えないものに対して使用できない点が、「参考」と大きく異なります。
転載
転載とは、他の人が作った文章や図、写真などをそのまま使用することです。引用と似た意味を持っていますが、異なるのはその割合です。
引用では自分の文章の中に他の人の文章などを引っ張るので、自分で作成した文章の割合を多くなります。これに対し、転載は大部分で他の人の文章を使うことを意味します。つまり、自分で作成した文章の割合が少ない場合は「転載」を使用するのが適切です。
転載をするには、以下を守る必要があります。
・著作権者の許可を得ていること
・自分の文章と明確に区別していること
・元の文章などを改変せずに使用していること
引用は要件を満たせば著作権者の許諾は必ずしも必要ありませんが、転載をする場合は必ず許可を得なければなりません。
4種類の言葉の違いを比較

引用、参照、参考、転載は似ているようで、意味や使用方法が異なります。ここまで解説した違いや使い方を、簡単にまとめました。
引用 | 参考 | 参照 | 転載 | |
元の文章の使用方法 | 変えずに使用する | 使用しない | 使用するが照らし合わせるのみ | 変えずに使用する |
自分の文章との区別 | 必要 | 不要 | 不要 | 必要 |
著作権者の許諾 | 引用要件を満たしていれば不要 | 不要だが文中に書籍名やURLなどを記載 | 不要だが文中などに書籍名やURLなどを記載 | 必要 |
他の文章を使う際に気をつけるべきポイント

引用、参考、参照、転載はいずれも、他の人が作成した文章などを元にした場合に使われる言葉です。これらの言葉を使うシーンでは、以下に挙げるポイントに気をつけるべきです。
著作権侵害にあたらないか注意する
他の人が書いた文章などを変えることなく使用する「引用」や「転載」を使う場合は、著作権を侵害しないように注意するべきです。特に「転載」は著作権者の許諾を得ることなく使用すると、無断転載とみなされて訴訟に発展する可能性も考えられます。
思わぬトラブルを防ぐためにも、他の文章を転載する場合は必ず著作権者の許諾は必要不可欠です。参考や参照の場合でも、文中にきちんと参考文献や参照URLなどを明記しておきましょう。
自分の文章との区別を明確にする
引用と転載をする際は、必ず自分の文章との区別を明確にしなければなりません。
引用においては、著作権法で「引用した文章の割合が少ないこと」を定めているように、自分が書いた文章との区別を付けながら割合を多くする必要があります。引用や転載をした文章の方が多い、または引用や転載した文章のみを使っている場合は不正とみなされる可能性があり、訴訟に発展する場合があるからです。
他の文章などをを使う際は、自分の文章と混同することがないよう、明確に区別をつけるべきです。
孫引きを避ける
孫引きとは、他の人の文章中にある引用や転載などを、原典を調べることなくそのまま使うことです。つまり引用の場合、孫引きは引用の引用をしていることになります。原典を確認せずに安易に孫引きをしてしまうと、情報の正確性が落ちたり信用性に欠けたりすることもあります。
引用した文章の中に他の文献の引用や参照などがある場合は孫引きを避け、必ず原典を確認した上で使用しましょう。
まとめ
副業でライティングの仕事を請け負っている、またはフリーランスでライターの仕事をしている方が記事を書く場合、執筆のために他の文章やデータなどを使う機会は多いものです。正確なデータが必要な記事では、引用や参考、参照を使う必要も出てくるでしょう。もし誤った使い方をすると無断転載となり、著作権者から訴訟を起こされる可能性があるばかりか、クライアントからの信用を損なうこともあります。
記事を書く仕事をしている方は、今回ご紹介した情報を参考にして、正しく情報を取り扱いながら記事を作成しましょう。