副業やフリーランスなどでライティングの仕事をしている方は必然的に文章を書く機会が増えますが、普段書いている文章がどのような文体なのか、文体の種類について詳しく知らない方は多いのではないでしょうか。
今回は、文章を書く上で知っておきたい口語体と文語体、話し言葉と書き言葉の違いと使い方、注意点について解説します。
口語体と文語体の基本

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文章を書くとき、口語体と文語体どちらを使って書けばいいのか悩んだことはないでしょうか。結論から言うと、現在は文章を書く際に文語体を使うことはまずありません。なぜ文語体を使わないのか、その理由を知るにはまず口語体と文語体の基本を知っておきましょう。
口語体とは
口語体とは、現在使われているごく一般的な文体のことです。新聞や雑誌、ネット記事などの文章はすべて、口語体で書かれています。つまり、この記事の文章を含むあらゆる日本語の文章を書くときに使われているのが、口語体というわけです。
口語体には、話し言葉と書き言葉の2種類が存在しています。話し言葉の口語と口語体は違うものです。「口語体」という文字から、口語体は話すときの言葉と勘違いされがちですが、書くときの言葉にも口語体が使われています。使うシーンなどに応じて話し言葉と書き言葉を使い分けるのが、口語体の大きな特徴です。
文語体とは
現代の一般的な文体である口語体に対し、文語体とは平安時代の古代日本語を基礎とした明治~昭和初期頃まで使われていた古文的で堅苦しい表現を用いた古い書き言葉のことを指します。文語体は書き言葉と混同されることが多いですが、文語体=書き言葉ではありません。
明治頃までは文語体が書き言葉で、昔の小説などにも使用されていました。しかし昭和27年に公表された「公用文改善の趣旨徹底について」という文書で、常用漢字表にない漢字を含む「特殊なことばを用いたり、かたくるしいことばを用いることをやめて、日常一般に使われているやさしいことばを用いる」、「文語脈の表現はやめて、平明なものとする」とあります。このことから、公用文でも難しい言葉や言い回しが使われなくなると同時に、文語体は一般的に使用されることも少なくなり、現在ではほとんど使われていません。
国が文語体の使用を推奨していないこともあり、文語体を使うことは現在ほぼありませんが、口語体の書き言葉には文語体の名残りを残した表現が現在も残っています。
文語体と書き言葉の違い
簡単に言えば、文語体は昔の言葉、書き言葉は現在の言葉です。文語体は難解な昔の仮名遣いで、古文として読む以外に目にする機会はあまりありません。そのため、現代の人にとっては読むことはもちろん書くことも難しい文体です。そもそも、文語体の書き方を勉強する機会も少ないため、文語体を書ける人の方が珍しいはずです。
一方、口語体の書き言葉は日常的に使うので書きやすく、読む側にとっても容易に理解できる点が大きな違いです。
口語体の話し言葉と書き言葉の基本

前述の通り、口語体は話し言葉と書き言葉の2種類に分けられます。話し言葉と書き言葉には厳密な定義はありませんが、以下のように大まかに区別できます。
話し言葉とは
話し言葉は、人とのやり取りを口頭で行うときに使う普段遣いの言葉です。コミュニケーションのために使われるので、理解しやすい言葉や柔らかい言い回しを使い、時には方言も使うことがある点が特徴です。友達同士のやり取りであれば、手紙やメールなどでも話し言葉が使われます。正しい言葉を省略することもあるため、読む人によっては理解しにくい場合があります。
話し言葉は、スムーズなコミュニケーションを取るのが目的となるため、言葉を省略したくだけた表現が多く、文法上の誤りがあっても見過ごされたり容認されたりする点も特徴といえます。
書き言葉とは
書き言葉は文章を書く際に用いる言葉で、不特定多数の人が読む新聞や雑誌、ネット記事などのほか、ビジネスメールやビジネス文書などフォーマルシーンで使う文書にも使われています。文法に則った正確な文章が基本で、話し言葉のように読む人を選ばない点が書き言葉の特徴です。
コミュニケーションよりも正しく情報を伝えることが目的となるため、書き言葉には正確性が求められます。
話し言葉と書き言葉の比較例
口語体の話し言葉と書き言葉の違いは、それぞれ比較するとわかりやすくなるので、よく使われる話し言葉と書き言葉をひょうでまとめました。
話し言葉 | 書き言葉 |
どうして | なぜ |
もっと | さらに |
やっと | ようやく |
どんな | どのような |
いつも | 常に |
とか | や |
だから・なので | したがって・そのため |
いろんな | 色々な |
~けど | ~が |
~じゃない | ~でない |
文語体は現在文章を書く際に使われることはほぼありませんが、前述したように数は少ないものの、口語体の書き言葉で文語体の表現が使われていることがあります。例えば、比較的口語体でも使われている「いわゆる」のほか、「願わくば」、「すべく」、「のみならず」は、現代の口語体の書き言葉で使うことがある文語体の言葉です。
文章を書く際に注意するべきポイント

ここまで解説したように、文章を書くときは口語体を使うこととなります。話し言葉と書き言葉、2種類の口語体を使って文章を書くときは注意するべきポイントがあるので、押さえておきましょう。
文体を統一する
現在、文章を文語体で書くことはないといっても過言ではありません。文化庁で公表している「公用文改善の趣旨徹底について」でも文語体を避けてわかりやすい表現にすることを指針としているので、文語体は使わずにすべて口語体で書きます。口語体には話し言葉と書き言葉の2種類がありますが、1つの文章で2種類の言葉を使うことは好ましくないため、文体はどちらか一方の言葉に統一するのが基本です。たとえセリフが含まれている文章でも、話し言葉または書き言葉どちらかに統一して書く必要があります。
例えば、議事録では出席者の発言と会議の流れを説明する内容についての文章が混在しています。発言をそのまま文章にすると話し言葉になりますが、その他の会議内容を書き言葉にすると、2種類が混在してしまいます。会議の雰囲気が伝わりやすくなるかもしれませんが、文体が混在した文章は読みにくくなるのがデメリットです。そのため、議事録を書くには発言は話し言葉で書かずに、書き言葉で統一するのがポイントです。
文末も統一する
文末のパターンは「です・ます」で終わる「ですます調」、または「だ・である」で終わる「だである調」の2種類です。それぞれ、ですます調は話しかけるような調子で読みやすい特徴が、だである調は断定することで説得力と威圧感を感じさせる特徴があります。
文章と書くときは、この2パターンのいずれかを使うこととなりますが、両方を混在すると文章のリズムが崩れて読みにくくなってしまいます。文末も、必ずどちらかのパターンで統一しなければなりません。それぞれの文末は異なる印象を与えるので、読む人にどのような印象を与えたいかで文末のパターンを決めて文章を書きましょう。
まとめ
文語体と書き言葉は混同されることが多いですが、どのような文章であっても現在書く文章はすべて口語体となります。
在宅でライターの仕事を始めた方、フリーランスとして独立してライターをしている方などは、文章を書く際に話し言葉と書き言葉の違い、使い方を知っておくと仕事に役立つでしょう。
今回ご紹介した情報で正しい言葉の使い方を押さえて、文章を書く際の参考にしてみてください。