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法人事業者なら知っておきたい源泉徴収税の徴収と納税方法とは

法人と個人が仕事をすれば、必ず法人側は「源泉徴収税」を徴収する必要があります。
中には、「法人と仕事をしたけど源泉徴収税を徴収されたことがない」という個人の方もいますが、納税は国民の義務になるので税金を支払わなくても良い人は特例の場合を除き、ありえません。

税金を納めないと、額面が大きくなってくると「脱税」になるので、国税局から追徴課税を請求される場合があります。今回は、そんな基本とも言える「源泉徴収税」について学んでいきましょう。

源泉徴収税のキホン

源泉徴収とは?

源泉徴収とは事業者が報酬を支払うときに、税金分を法人側が予め差し引いてから、報酬をフリーランスに支払う制度です。差し引いた税金分は法人事業者が銀行や税務署に支払い額の10.21%を納めることになります。


本来税金を納めるのは報酬をもらう側なのですが、源泉徴収の特徴は支払う法人側が代わりに納めるという点でしょう。

年末調整や確定申告で精算する

事業者が源泉徴収で差し引く金額は「おおよそ」の金額です。そのため、差額を精算するために年末調整や確定申告を行い、1年間(1月1日~12月31日)の正確な所得税を計算する必要があります。

会社員以外でも対象となる

源泉徴収は月給だけではなく、賞与、退職金も対象となります。
また、取引先などへの「報酬・料金」も源泉徴収の対象になります。

  • 原稿料や講演料など
  • 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  • 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  • ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
  • プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

源泉徴収税の計算方法

源泉徴収税の計算方法は税金の種類によって異なります。
ここでは代表的な2つの例を見ていきましょう。

月給の計算方法

例えば、給与から源泉徴収を行うには「給与所得の源泉徴収税額表」を元に給与金額、扶養親族等の数、何社から所得を受けるかを当てはめて算出します。

▲国税庁 給料所得の源泉徴収税額表(令和4年度分) 一部抜粋

税理士に源泉徴収を依頼する

報酬の計算方法

原則的な計算方法は以下のとおりです。

源泉徴収税額=支払金額×0.1021(10.21%)

ただし、司法書士、土地家屋調査士、海事代理士など一部の報酬では別の計算ルールもあります。
また、「行政書士は源泉徴収税を差し引かない」という謎のルールの存在します。士業が相手の場合は事前に計算方法を調べましょう。

源泉徴収税の納税方法

原則、毎月納付する

源泉徴収されて事業者の手元に残っている支払うべき税金は、報酬を支払った翌月10日までに納付しなければなりません。
例えば6月20日が支払日の給与や6月末日が支払日の原稿料は、7月10日までに納付しなければなりません。

所得税徴収高計算書(納付書)を作成する

▲国税庁 「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」

税理士に源泉徴収を依頼する

源泉徴収税では税金を納めるために使う納付書を、納税する側(報酬を支払う側)が作成をします
その納付書のことを「所得税徴収高計算書」といい所得によって分類されています。

  • 給与所得・退職所得等
    給与、退職手当、税理士・弁護士・司法書士などの報酬
  • 報酬・料金など
    弁護士、税理士、司法書士等の報酬を除く相手への報酬・料金、契約金、賞金など
  • その他
    利子等の所得、定期余点の給付補てん金等の所得、配当等の所得など

どの所得にあたるかの「区分」や源泉徴収税の金額が分かっていれば作成は難しいものではありません。後述のe-Tax(国税電子申告・納税システム)などキャッシュレス支払いを使えば、項目選択や金額入力のみと手軽です。

キャッシュレス支払いをした場合は所得税徴収高計算書が自動作成され、PDF等で記録を保管しておくこともできます

源泉徴収税額の支払い方法とは?

  • 納付書
    コンビニ、銀行、税務署の窓口で納付書を使って支払う方法です。
    事前準備として納付書を入手して記入する必要があります。
    原則として現金のみでしか支払うことはできません
  • e-Tax(国税電子申告・納税システム)
    ・ダイレクト納付
    申告書などを提出した後、預貯金口座から口座引落しにより納付する方法です。ただし、あらかじめ利用届出書を提出しておく必要があります。毎月納付する場合にはオススメです。

    ネットバンキング
    「税金・各種料金払込みサービス(Pay-easy)」に対応している銀行口座からインターネット上から振込が可能です。事前登録なく利用することができ、振込手数料もかからない場合もあります。ただし、すべての銀行口座が利用できるわけではないので注意が必要です。

  • クレジットカード
    「国税クレジットカードお支払サイト」から必要な情報を入力して支払う方法です。
    Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、と主要なブランドが利用できますが、決済手数料がかかってしまいます

業務の効率性を考えるとe-Taxなどキャッシュレス支払いがオススメです。日本全体がキャッシュレス化を進めていますので、今後ますます拡大・充実していくはず。今からでも環境を整えていくとよいのではないでしょうか。

まとめ

源泉徴収は会社員だけではなく、原稿料や弁護士の報酬として受取る場合でも発生します。源泉徴収した税金を納税するには、所得税徴収高計算書(納付書)を作成しなければなりません。支払い方法は現金も可能ですがe-Taxなどキャッシュレス支払いを利用すると効率的ですよ。

そして一番大切なことはどんな所得が源泉徴収の対象になるか見極めることです。
正しく税金を納めるためにも、外部に代金を支払うときには税務署や担当税理士に確認するとよいでしょう。

税理士に源泉徴収を依頼する

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この記事を書いた人

まるりん

フリーランスワーカー.jpの創設者 株式会社乙栄商会 代表取締役 乙丸英広。パソコン1台、資産50万円を元手に2013年10月 足立区の実家で起業。

株式会社乙栄商会は、10期目突入。設立から400社以上の企業から6,500件以上の新規取引を創出。(※1)最近では上場企業のwebメディアの編集業務や小室哲哉さんの楽曲アーカイブを請け負う。

2021年 経済産業省から補助金の採択をされる。
2023年 協力会社のご縁があり、資金調達成功。
現在は自社webメディアのフリーランスメディア.jpを育てている。

(※1=2013年〜2023年9月現在)