ビジネスで連絡をするときや店舗、公共交通機関を使うときなど、「終日」は比較的よく目にする言葉です。しかし、なんとなく意味はわかるけれど実際にいつからいつまでのことを意味しているのか、よくわからない方は多いのではないでしょうか。
「終日」の意味を勘違いしてしまうと、連絡や対応にすれ違いが生じてトラブルの原因となる可能性もあるので、注意したいところです。
そこで今回は、「終日」という言葉の意味や使い方と例文、使用時の注意点について解説します。
「終日」とは

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「終日」とは、基本的に「一日中」、「朝から晩まで」という意味があります。読み方は「しゅうじつ」が一般的ですが、古語では「ひもすがら」「ひねもす」などと読むこともある言葉です。
「終日」という言葉には、厳密な時間の範囲が定義されていません。すべての場面で同じ範囲の時間を指すわけではなく、使う人やシチュエーションによって時間の範囲が異なります。加えて、受け取る側の時間の幅の認識も人それぞれである点が、この言葉を使う際の難しい点です。
「全日」との違い
「終日」と似た言葉として「全日」という言葉があります。全日には、「毎日」または「すべての日」という意味があり、「終日」と混同されがちですが、この2つの言葉は大きく異なる意味を持ちます。
「全日」も「終日」と同様に時間の範囲が指定されていませんが、丸一日という意味で使います。これに対し、「終日」は時間の範囲が指定されていないものの、丸一日という意味で使うことはなく、1日のうちの特定の時間の範囲として使用する点が、「全日」との大きな違いです。
「終日」の使い方と例文

「終日」という言葉は、使う人や使うシーンによってその時間の幅が変動します。ビジネスとプライベートで使う場合の例文とともに、使い方をご紹介します。
ビジネスで使う場合
ビジネスシーンで「終日」を使う場合は、「終日不在」や「終日対応可能」などの使い方が多いものです。ビジネスでこのように使う「終日」は、オフィスであれば始業時間から終業時間まで、店舗であれば開店から閉店まで、つまり営業時間内という意味で使うのが基本です。使い方の例を挙げてみましょう。
・本日は終日対応可能です。
・本日、担当の◯◯は終日不在です。
オフィスでの終日対応は、あくまでも終業時間までの意味です。店舗では中休みを取らずに閉店時間まで通し営業という「終日」を使うことが多いですが、「終日営業」や「終日禁煙」とすると24時間営業、24時間禁煙という意味が強くなり、上記の例とはやや意味合いも異なります。
自分がサービスなどを受ける側となった場合の「終日」には、別の意味が含まれることがあります。例えば、電車などの公共交通機関を利用する際に以下のようなアナウンスを聞いたことはないでしょうか。
・悪天候が予想されるため、明日◯◯線は終日運休となります。
公共交通機関の「終日運休」や「終日運転見合わせ」はオフィスの始業時間や終業時間と同様に、その交通機関の始発から最終便までという意味で使われます。上記のように、事前に運休などが予想されている場合のほか、当日中に悪天候や車両トラブルなどでその日の運行がまったくなくなる場合も、本来の最終便まで運休という意味で「終日運休」「終日運転見合わせ」が使用されます。
プライベートで使う場合
「終日」という言葉は、以下の例のようにプライベートで使う場合があります。
・今日は終日リラックスして過ごせました。
プライベートの時間にはビジネスのような始業時間や終業時間などの明確な時間の範囲が存在していないことから、「朝から晩まで」または「朝起きて寝るまで」という意味で使うのが一般的です。そのため、ビジネスで使うときよりも時間の幅は長くなります。起床時間や就寝時間は人によって異なるので、プライベートで使う「終日」も人によって認識の違いが大きくなることも多いのです。
「終日」を言い換えるには

「終日」を別の言葉で言い換えるには、以下に挙げる言葉が使えます。
・一日中
・四六時中
・いつも
・いつでも
ただし、これらの言葉は「終日」とまったく同じ意味を持つわけではなく、それぞれ異なるニュアンスがあります。
例えば、「終日対応可能」という場合は「一日中」や「四六時中」では丸一日という意味になってしまうので、時間帯を限定している場合に使うには適当ではありません。ですが「いつでも」であれば、「いつでも対応可能」と使えば営業時間内に限った対応が可能という意味に取れるので言い換えに使用できます。
一部の時間帯のみを指定する際の言い換えには、このような言葉もあります。
・日中
・朝晩
・昼夜
「日中」は文字通り日が出ている間、「朝晩」や「昼夜」はそれぞれ漢字が示す範囲で使える言葉です。いずれも時間の範囲は曖昧ですが、ある程度時間帯を指定しながら「終日」と似たような使い方ができます。
「終日」を使う際に注意すべきポイント

「終日」は定義が曖昧であるため、使用する際に注意すべきポイントがあります。
使用シーンに注意する
前述のように、「終日」という言葉は使うシーンによって時間の範囲が変わる点が特徴です。ビジネスとプライベートで使うときで異なるはもちろん、同じビジネスシーンでも会社や店舗の違いなどで始業時間と終業時間、開店時間と閉店時間が異なります。さらに、ビジネスシーンでは正社員や契約社員、アルバイトなどの雇用形態の違いによっても勤務時間が変わる点にも注意したいところです。
特定の人物に対して「終日不在」と使うなど、一個人についての情報に「終日」が使われている場合は、先方の始業時間から終業時間までという意味になる点にも注意しましょう。
人によって定義が異なることを踏まえて使う
「終日」の時間の範囲は明確ではありません。ただ単に「終日」と聞かされただけでは時間の範囲の定義が曖昧になってしまい、営業時間や始業時間、終業時間などの情報がない場合は時間帯の把握が困難です。
例として、ビジネスシーンで「終日対応可能」のみ連絡を受けたとします。これはあくまでも終業時間または営業時間内での対応が可能という意味になりますが、先方がその日中であればいつでも対応できると勘違いして終業後の遅い時間に連絡をして対応不可となると、トラブルにつながる恐れがあります。期限厳守の案件などを受ける場合は、「終日」のみを使って時間の範囲を曖昧にしないよう、注意が必要です。
「終日」の認識が異なることによる連絡や対応の行き違いを防ぐには、連絡の際に「終日」に詳しい日時を付け加えておくことをおすすめします。
「終日中」とは言わない
「その日までに」「その日1日」という意味で「終日中」と使われることがありますが、これは誤用です。「終日」のみで「一日中」という意味があるので、「中」を付け加えると意味がダブってしまうからです。
特にビジネスで使う際は、このような重複する意味が発生する誤用に注意しましょう。
まとめ
ビジネスでは「終日不在」や「終日対応可能」など「終日」を使う機会は比較的よくあります。プライベートでも、店舗や公共交通機関を利用する際の注意書きなどによく使われています。
「終日」を使った連絡を受けた際は、その意味をきちんと理解していればトラブルを回避できます。自分で使う場合も、「終日」のみではなく詳しい時間帯を併記しておけば、相手の勘違いを防げます。
今回ご紹介した意味や使い方などを参考に、「終日」という言葉を使いこなしてみましょう。